“生涯ドルヲタ”ライターの「アイドル深夜徘徊」vol.35

アイドルの現場に“万能”なものなどない――ドラマ『だから私は推しました』第4話

 このように、賛否あるバトル企画だが、私は決してマイナス面だけだとは思わない。例え優勝できなかったとしても、目標に向かってひとつになったメンバーには絆が生まれるし、応援したオタクたちも結束を強める。自分の楽しめる範囲で盛り上がるのは、どんどんやってもらいたいものだ。

 投票の最終日、最後まで接戦を繰り広げたが、見事サニサイはバトルを勝ち抜き、アイサマ出場権を獲得する。

 そうして迎えたフェス当日、愛は久しぶりにサニサイのライブを見る。新曲を披露した時、愛はオタク仲間に担ぎ上げられる。リフトだ。実際にはフェスでは禁止されているが、一段高いところでアイドルと向き合えるのは何物にも代えがたい気持ちだろう。

 愛の目に涙があふれる。彼女は、サニサイを1位にするため、アダルト系のライブチャットのバイトをしていたのだ。

 もちろん、その行動が正しいかどうかは、見る者の判断によって異なる。そもそも私は、ライブチャット自体が悪いものだとは思わないし、愛が判断してやったことであれば、人が咎めることではないと思う。

 ただ、今回愛や小豆沢がつぎ込んだのは、決して「お金」だけではない。どのタイミングで投票するのがいいかと「知恵」を絞り、オタクたちで励まし合いながら「士気」を高める。そして根底には、アイドルに素晴らしい景色を見せてあげたいという「愛情」があるのだ。どれかひとつが欠けたって結果にはつながらない。アイドル現場においては、何かひとつが「万能」になることはないのだ。

 そして、それは多分、一般の社会でも同じことだ。目に見えやすい、お金や地位といったものに目が行きがちだが、本当に思うように生きるには、それ以外の要素も大事になってくる。どこまで意識しているかわからないが、このドラマは、アイドルという世界を借りながら、今の日本の抱える行き詰まり感を描いているようにも思える。

 今回のラスト、事件を目撃した女性(安藤サクラ)は、瓜田と揉めていたのが愛ではないようだと証言する。とすると、愛は誰かをかばっているのではないか? 愛がかばうとすればハナ? しかし、ここまで凝った作品を作る制作陣のこと、見ている人にミスリードさせようとしている可能性もある……と、考えれば考えるほど深みにハマっていく。

 さて、いよいよ次回からは後半戦。サニサイは本当に解散してしまうのか? そして次は、どんなアイドル現場の問題を取り上げてくれるのか。心の準備をして待っていよう。

(文=プレヤード)

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