“生涯ドルヲタ”ライターの「アイドル深夜徘徊」vol.32

「厄介オタ」にならないために――ドラマ『だから私は推しました』第2話

『だから私は推しました』公式サイトより

 ドラマ『だから私は推しました』(NHK総合)の第1話放送後、劇中で使われた「地下アイドル」という言葉について、「アイドルファンから“蔑称”ではないかとの声が上がった」というニュース記事がネット上に流れた。

 これに対し、ドラマでサニーサイドアップのメンバー・玉路紀子を演じている天木じゅんや、地下アイドル考証を担当している姫乃たまが、Twitterを通して反論するなどの動きを見せた。

 地下を含めてアイドル現場を見てきた自分としては、少なくとも今の状況で「地下アイドル」が蔑称であるとはとうてい思えない。もちろん、最初に言い出した頃は、多少の侮蔑、もしくは自虐を含めて使っていたこともあるかもしれない。しかし、今のアイドル現場で「地下アイドル」を悪い意味で捉えている人は少数派であろう。

 むしろ、今回のようなドラマの中で、地下アイドルという言葉を使わず、“ライブアイドル”のような言い換えをしたとしたら、それはリアルな姿を描いているとは言えないと思う。この一連の騒動については、実際に現場を知らずにものを書くことの危うさを象徴することとして受け止めるべきだろう。

 さて、そんなドラマであるが、第2話では、ついに「厄介オタ」の究極系とも言える、瓜田(笠原秀幸)の存在が明らかになった。

  アイドルユニット「サニーサイドアップ」のメンバー・ハナ(白石聖)のオタクとなった遠藤愛(桜井ユキ)。常連の椎葉(村杉蝉之介)や、花梨(松田るか)推しの小豆沢(細田善彦)たちから、アイドル現場のルールなどを教えてもらい、ますますこの世界にのめり込んでいく。

 アイドルに限ったことではないが、趣味や道楽というのは、いろいろと覚え始めた頃が一番楽しいものだ。愛も、ライブでのコール&レスボンスや、「タイガー! ファイヤー! サイバー! ファイバー!……」でおなじみの“MIX”などを体得し、現場での知り合いも増えていくのだった。

 そして、ライブ後には、そんな仲間たちとの飲み会にも参加するようになる。“ヲタ飲み”や“感想戦”と呼ばれるこの会、これも、アイドル現場での楽しみのひとつだ。ドラマでも言われていたが、私も含めてオタクというのは、社会性のない人が多い。そんな人たちが、「好きなアイドルが同じ」という一点でつながり、そのアイドルについて、とことん語り合うのだ。話の合うオタクと知り合うことは、アイドルを応援する上で、重要な要素なのである。

 しかし、そのような場に一切顔を出さない人もいる。そんな一人が、愛と同じハナ推しの“太客”であった瓜田だった。

 瓜田は、いわゆる「財閥オタ」であった。金に物を言わせて、ハナのチェキ券を買い占め、他のファンが入れないようにする。いわゆる「厄介」の部類だが、なにぶん金払いがいいだけに、運営側もキツく言えないのが難しいところだ。

 ドラマでは、ストーカー気質もある瓜田は、悪役として描かれているが、彼の心情もわからなくはない。

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