“生涯ドルヲタ”ライターの「アイドル深夜徘徊」vol.35

アイドルの現場に“万能”なものなどない――ドラマ『だから私は推しました』第4話

『だから私は推しました』公式サイトより

 8月16日、汐留日本テレビの大屋根広場で行われた『@JAM EXPO 2019メインステージ争奪LIVE』を見に行った。

 タイトルからもわかる通り、8月24、25日に横浜アリーナで開催されるアイドルフェス『@JAM EXPO 2019』のメインステージ出演権をかけたライブバトルだ。

 4組のアイドルがパフォーマンスを披露し、会場にいる人と、「SHOWROOM」でのライブ配信を見ている人の投票で優勝者が決まる。いわゆる「バトルもの」である。どのグループも、メンバーとファンが一体となって盛り上げ、熱気にあふれたライブだった。

 狙っていたのか偶然かはわからないが、翌17日に放送されたドラマ『だから私は推しました』第4話のテーマになっていたのが、ちょうどこのバトルものについてであった。

自分の好きなものに正直になり、周囲にもオタクであることを告白できた愛(桜井ユキ)。そんな時、推しのハナ(白石聖)が所属するグループ、サニーサイドアップ(サニサイ)が、夏のアイドルフェス『IDOL SUMMER FESTIVAL(アイサマ)』で行われる、ステージバトルロワイヤルという企画にエントリーすることになる。

 もちろん、これは8月2~4日に行われた『TOKYO IDOL FESTIVAL(TIF)』の、出場者選抜企画をモデルにしたものだろう。

 実際のTIFでは、審査員の評価や配信でのポイントなどで選出されるが、ドラマの中では、フェスの公式グッズを買って投票券を入手、それによる投票で出場できるかどうかが決まるというものだった。製作者の意識の中には、AKB48グループの選抜総選挙のイメージもあるのかもしれない。

 この手の企画は、かつてのハガキ投票の時代から始まり、CDに投票券をつけたり、配信の課金ポイントに応じて順位を決めたりと、さまざまなパターンが生まれてきた。そのたびに、議論されるのが、「金持ちのファンを持っている人が一番強いのか?」ということだ。

 確かに、あまりお金はかけないけれど、こまめにライブに足を運んだり、手紙を書いたりといった応援をしているファンも多いことだろう。その人たちが、「お金を持っているのがいいファンなのかよ!」と言いたくなるのもわかる。

 しかし、何かを基準に順位をつけようとしたら、それが何であれ(ブログのコメント数や参加したライブの数など)不公平感を抱く人は必ず出てくるのだ。その時に、「お金」というわかりやすい基準を設けるのは、やむを得ないことだとは思う。

 しかし、そのような仕組みを初めて知った愛は、「フェアじゃない!」と憤慨する。
「オーディションとか会場投票とかにすべき」と言う愛に、オタク仲間の小豆沢(細田善彦)は、「審査員の買収とか、サクラを仕込むとかできる。金でどうにでもなる」と答える。

 そうなのだ。少なくとも、今の社会で完全に公平な戦いなど、まずできるものではない。ならば、彼女たちのために、その祭りに乗っかるしかないのだ。愛も最終的には納得し、サニサイの応援に回る。

 サニサイの出だしはまずまずだった。小豆沢たちは、戦略を練り、なんとか勝たせようと必死になる。

 そして、どうしてもフェスに出たいという気持ちはメンバーも同じだった。アイは、公約として、「アイサマに出られたら、ビキニエプロンで配信する」と宣言する。このあたりは、2015年のAKB48総選挙で、指原莉乃が「1位になったら水着ライブを行う」と公約したことを連想させる。

 しかし、その頃ハナは、配信やアルバイトに追われる生活で、かなり疲弊していた。大きな収入源だった太客の瓜田(笠原秀幸)が来なくなったのは、やはり痛手だったのだ。そして、あるライブの途中、ハナはとうとう倒れてしまう。

 その様子を見て、ハナがどれだけ必死で挑んでいるかを知った愛は、絶対にサニサイを勝たせると誓う。そして、サニサイのライブにも行かず、新しいバイトに打ち込むのだった。

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