『Fate/Apocrypha』から学ぶ! 一番わかりやすい『FGO』原典紹介(前編)

 たまたま拾った槍の力、そして貰い受けた角笛と立派な本を使いこなし、アストルフォは次々に武勲を上げ成長し、最終的には魔法の道具が無くとも立派に戦える騎士になるのです。

 ところで金の穂先の槍に秘められた魔力に、登場人物たちはまったく気がつきません。アストルフォは槍の力を「自分の実力だ」と脳天気に思い込んでおり、角笛と立派な本は適切かつ大切に扱うものの、槍は全く重要視していませんでした。そして彼は空を飛ぶ魔獣イッポグリーフォ(ヒポグリフ)に乗っての冒険の際、たまたま出会った従兄弟の女騎士ブラダマンテに槍を託し、それ以降この槍はブラダマンテの武器として最後まで使われるのです。そしてブラダマンテもまた、槍の魔力には全く気が付きませんでした。

・騎士はかくして月へと向かう

1705_fgo01_05.jpg Wikimedia Commonsより。月から戻る聖ヨハネとアストルフォ。撮影:Sailko

 また「アストルフォは理性が蒸発している」という点が強調されがちですが、それは「オルランドの正気を取り戻すべく、聖ヨハネと共に地上で失われたものの全てがあるという月へ行った際、自身の正気の大部分がそこにあり、ついでに自分の正気を取り戻した」という、荒唐無稽なエピソードが由来となっています。

 原作作中でのアストルフォは、確かにユーモアのあるコミックリリーフとして描かれていますが、その活躍を見るに理性を失っているとはとても思えません。ただし『恋するオルランド』においては、何かに打ち込む、主君に望みを託している、魔術を追い求める、美術品にうつつを抜かすものは皆正気を失っているとされており、月世界には哲学者、天文学者、詩人など、名立たる人々の正気もたくさんありました。おそらく著者ルドヴィーコ・アリオストにとって、正気を失っている人間はさほど珍しくない、ということなのでしょう。

 そしてアストルフォは、月からオルランドの正気が詰まったビンを地上へ持ち帰り、その直後に真っ裸と怪力でもって暴れ狂うオルランドを発見、仲間と協力して捕縛しそれを摂取させ、オルランドは完全に正気を取り戻します。その後、彼は一度たりとも狂うことはありませんでした。

 最後に、アストルフォが月旅行のついでに取り戻した彼自身の正気についてです。月から戻ったアストルフォは、しばらくの間は分別ある人物として過ごしていました。ですがある時に犯した過ちのため、大部分の正気を脳から再び取り上げられ、元のお調子者に戻ってしまったといいます。どうやらオルランドのようにすべての正気を失わない限り、大したことはないようです。

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