『Fate/Apocrypha』から学ぶ! 一番わかりやすい『FGO』原典紹介(前編)

■黒のライダー:アストルフォ(シャルルマーニュ伝説)

1705_fgo01_04.jpg『Fate/Apocrypha vol.3「聖人の凱旋」』表紙より(TYPE-MOON BOKKS)

 アストルフォは、8~9世紀のヨーロッパに大帝国を作った実在の王「シャルルマーニュ」と彼に仕える騎士たちを主人公とした、西欧で高い人気を誇る武勲詩群「シャルルマーニュ伝説」に登場する騎士のひとりです。それらの中でもよく知られているのが『ローランの歌』、『狂えるオルランド』、そして未完の作品『恋するオルランド』でしょう。

 ちなみにオルランド(Orlando)というのはイタリア読みで、フランス読みではローラン(Roland)となる、聖剣デュランダルを授けられる同一人物の名前です。

・ヒモ騎士と不憫な魔法の槍

 アストルフォは高貴な血を引く騎士です。原作作中では「若き美男子であり、機転が利く器量良し、礼儀作法は完璧。富豪の息子で常に派手な格好をして、金の肌着を身に着けている。ただし自信過剰なきらいがある」と説明されています。さらに「自分は眉目秀麗で品もよく、多くの女性から想いを寄せられていた」と自称しており、確かにその通りなのですが、このようにナルシスト的な性格が伺えます。

 このアストルフォ、イケメンで口は達者なものの腕っ節は弱く、物語の序盤では馬上槍試合などで全く勝ち星を挙げられない、という非常に情けない騎士でした。

 ですがアストルフォは、ある時にふとした勘違いから、たまたま拾った槍のおかげで非常に強い騎士となるのです。この槍はもちろん「触れれば転倒!」の元ネタとなった、「馬に乗ったものが、その穂先に少しでも触れれば、すぐさま馬上から弾き飛ばされる」という魔法の力が込められた「金の穂先の槍」です。

 ただ転ぶだけ、落ちるだけじゃないか、とお思いになったかもしれません。ですが、物語が成立した15世紀頃の騎士にとって、落馬は最も恐れるべきことでした。落馬それ自体によって命を落としかねないだけではなく、重い全身鎧を身にまとっているため、機動力を失う、落ちた衝撃によるケガ、体勢を立て直す前に攻撃を受けたり捕まってしまう可能性など、挙げればきりがないほどです。ただ触れるだけで相手を落馬させられる、という金の穂先の槍が、どれほど強力な武器なのかがおわかりいただけるでしょうか。

 物語が進み、何とか人間の姿に戻してもらえたアストルフォは、その後にロジスティッラという魔女からの寵愛を受けます。彼女は愛するアストルフォに、あらゆる魔法の罠を打ち破る方法が書かれており、かつ必要な情報をすぐに引き出せる立派な本(名前は付けられていない)と、吹けばすさまじい音が鳴り響き、それを聞いた者は恐怖を覚え逃げ出してしまう、という魔法の角笛を与えました。

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