―― たしかに(笑)。小太郎は地元の子ですが、茜はどうなんでしょう?
南 茜のお父さんは食品会社勤務で、転勤で川越のマンションに来たんですよ。今は川越営業所に勤めていますが、いつか引っ越していくわけです。川越をロケハンしたとき、駅前にある大きなマンションと街の中にある古い家の対比がすごく良かったので、その組み合わせにしてみました。家風の違いは本人の性格にも現れますし、中学生ならまだそれが強いと思うんですよね。
―― いろいろなところに差があるわけですね。
南 我々も、人との出会いは子どもの頃から40過ぎた今まで、いろいろあるじゃないですか。でも、子どもの頃のほうがいろいろな人と出会っていたような気がします。大人になってから出会うのって、だいたい仕事の知り合いなんです。中学時代や高校時代の友達と会うのが面白いのは、いろいろな人がいたからなんですよね。自分と違う人と会うから面白い。いろいろな人がいる社会を描きたかったんです。
■loundrawさんと中学生の制服についてディスカッションしました
―― 今回はキャラクター原案としてイラストレーターのloundrawさんを起用されていますが、これはどのようないきさつがあったのでしょう?
南 ある程度企画がまとまってきたところで、今回はアニメーターではなくイラストレーターが描く原案をもとに作ろう、と岸監督と意見が一致しました。いわゆる「THE 美少女アニメ」のような絵柄はちょっと合わないよね、と。
そこで2週間ぐらいかけてスタッフ各自がいいと思うイラストレーターさんを探して、持ち寄りました。loundrawさんの絵を持っていったのは私です。彼が装画を描いていた小説を何冊も持っていて、いい雰囲気だと思っていたからなんですけどね。仕事柄、彼がちょくちょくイラストを描いているハヤカワ文庫JAのSF小説はほぼすべての新刊を読んでいるので。
―― loundrawさんとのお仕事はいかがでしたか?
南 お願いして設定画を描いてもらったところ、今回狙っているアニメの最終的な仕上がりとのマッチングとしては申し分のない絵が上がってきたので、これで行こう! と。ちょうど彼がまだ学生で時間があったのと、とても手が早い方なので我々としても仕事しやすかったですね。
制服のスカートの丈や靴下の長さについては、私とloundrawさんとでかなりディスカッションしました。loundrawさんはお若いので、当然、我々よりも最近の中学生事情に詳しい。「いまどきは公立中学でも指定のコートはピーコートかダッフルコートですよ」って言われて衝撃を受けました。俺たちの頃はダサいステンカラーコートだったのに!(笑)
―― キャラクターの顔や体に白いハイライトが入っているのが印象的ですが、これはどなたのアイデアでしょう?
南 監督と色彩設計の伊藤さき子さんが話し合って決めました。監督も伊藤さんもけっこう悩んだようでいくつもパターンを試していましたが、ハイライトが一番派手に入っているものが良かったので、決定しました。
―― あまり見たことのない処理ですが、10代のキャラクターの瑞々しさを表現するのに一役買っていると思います。
南 そうですね。背景画のブライトさとの橋渡しにもなっているので、これで良かったと思いますね。
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