「『実写でやればいいじゃん!』と言われたい」!? 今期“最ムズキュン”アニメ『月がきれい』南健PDインタビュー

――エピソードには、南さん、岸さん、柿原さん(優子/シリーズ構成・脚本)の実体験が入っているのですか?

 もう、そればっかりですよ(笑)。脚本ができるまでの2年の間、ずっとお互いの10代の記憶を開陳しあっていました。毎週、会議が終わるたびにすっごく疲れていましたね(笑)。

 中学生の「生活」を描くわけですから、基本的に「あるある」を作らなければいけない。「ああ、わかるわかる」とか「いるよね、こういうヤツ」というものにしなければいけない。自分たちの話もしましたし、知り合いに中学生ぐらいの子どもがいたら、お願いしてファミレスとかでインタビューしましたよ。冠婚葬祭のときに会った親戚の中学生の子どもも観察しました(笑)。

1704_sora05.jpgLine交換も一大イベント

―― 昭和の中学生と現代の中学生で大きな違いは感じましたか?

 現時点での結論は、「スマホを持ってるだけで、あとは我々の頃と変わんないな」ってことですね(笑)。生まれてから14、5年で積むことができる経験値なんて、あまり変わらないんですよ、きっと。世代差より個人差のほうがまだまだ大きい年代なんです。

―― 舞台の川越はどのように決まったのでしょうか?

 「都会でも田舎でもないところ」を探したんですよ。言い方を変えると、都会の要素も田舎の要素も少しずつ持っているところ。建物でいえば、8階建てのマンションも庭付きのちょっと古い一軒家も両方ある街。それが一番、多くの人にとって「現実的」な風景に見えるんじゃないかと思って。それでいて、少しは特徴のある街並みもあってほしい。その方が「絵になる」から。具体的には寺社仏閣や歴史的建造物ですね。最後に、東京からそんなに遠くないところ。ロケハンも大変だし(笑)。

 という条件で探した時に、湘南・鎌倉なんかが第一候補になりがちなんですが、あまりに多くの作品の舞台となっていて、ちょっとつまらない。あと、海があると「画になりすぎる」ので、それはズルだよね、とか(笑)。そういった中で小江戸・川越という候補が上がって、「ちょっと行ってみようよ」と岸監督と柿原さんと見に行って、関西出身のお2人にも気に入ってもらえたので、決めました。

1704_sora04.jpg文学少年の小太郎

―― 文学がモチーフになっていたり、第1話でレコードを貸し借りしていたりと、ちょっと昭和感がありますよね。

 よく見ていただくと、そういうものは全部小太郎サイドなんです。小太郎は地元の子で、お父さんも川越生まれの川越育ち。一家はおじいちゃんが建てた家に住んでいて、小太郎の部屋も畳にじゅうたんを敷いた上にベッドを置いてあって、今どき紐がついている電灯がある(笑)。なぜかモハメド・アリのポスターが貼ってあるんですけど、あれは私もよくわかんないです(笑)。気づいたら美術設定に貼ってあった。小太郎のお父さんは文系の人で、日本文学を読むような人だったから、小太郎も影響を受けて文学を読むようになったんです。

 小太郎が近所のお兄ちゃんである大輔から借りるレコードは最初、ジャズの予定だったんですよ。でも、プレスコの収録の日に大輔役の岩中(睦樹)さんの声を聞いたら「ジャズ聴いてそうな感じがしないなぁ」と思って、急遽、セリフを「はっぴぃえんど」に書き換えたんですよ。私も中学生の頃に同じレコードを中古で買ったんです。今も年に2、3回は聴いてますよ。いかにも大学生のお兄さんが中学生の弟分に貸しそうな感じもするでしょ?(笑)

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