生まれたときから“革命児”!?　『艦これ』吹雪のシンデレラストーリーを紐解く『劇場版　艦これ』

編集部

2016.12.16

　この7隻が、世界七大戦艦“ビッグセブン”なのです。この当時から、神セブンっているんですよ！　どうです!?「戦艦ビッグセブンから神セブン、AKB、アイドル、美少女たち……ハッ!?　艦船を少女化してしまえ！　艦娘だ!!」ってなったと、僕は予想します。

　さぁ、ここで、疑問が湧きますよね？「大和とか武蔵とかは入んないの？」「長門って大和よりデカイの??」これは戦艦を知らない人でも疑問に思うはず。まず、大和と大和型二番艦である武蔵は長門よりデカイです。長門型の排水量は39,120t、大和型は64,000tです。デカイですよね。「じゃあ、なんで大和と武蔵はビッグセブンに入んないの？」答えは簡単、大和と武蔵は秘密兵器なんです。秘密だから、世界のビッグセブンに選ばれるわけはありませんよね。長門は、表向きの日本海軍の巨大戦艦を象徴する姿であったわけです。そんな長門が皆を率いている。より大きく、強い、大和、それを気遣いながら、率いている。そんな感じでしょうか？　だから、艦娘の大和と武蔵の関係性がよかったですね。

　しかし、史実では、大和は大艦巨砲主義の終わりを表すように巨大な的となって、沈没してしまい、長門は敗戦後、アメリカ軍に接収され、ビキニ環礁の原爆実験で二度の原爆の衝撃に耐え、その後、沈没している。これらの事実を考えると、不憫な話です。でも、こうは考えられませんか？　長門が被爆してゴジラになった……と！　すみません、忘れてください……。

　映画に出てくる艦娘たちを見ていて、気がつきました。これもひょっとして、何を今更な話かもしれませんが、やはり戦艦の艦娘が一番デカイ、背が高い。次に重巡洋艦、軽巡洋艦、駆逐艦となるわけです。駆逐艦ともなると、子供ですもんね。本来、駆逐艦でも全長100m超えるんですけどね。そして、空母の艦娘たちは、弓道部みたいな格好しています。これは謎だったんですが、なるほど、射った矢が戦闘機になるのね。納得納得。納得しておきましょう。

　なぜ、「駆逐艦吹雪」が主役なのか？　僕はアニメも見ていないので、主役が吹雪だと映画で知りました。

　駆逐艦吹雪型というのは、当時の軍令部のとんでもない要望を実現した艦だったのです。睦月型駆逐艦と同じ速力を維持したまま、武装を倍にした駆逐艦造れ！　って指令なんですが、こんなの4日間飲まず食わずで太れ！　って無茶ぶりとほぼ一緒。意味がわかりません。一部の説では、出来もしない要望をふっかけただけじゃないか？　とさえ言われています。しかし、海軍のみんなは頑張りました。新技術や、徹底した軽量化で排水量1,700t以下に抑えたのです。吹雪は生まれた時から、革命児だったんです。そんな吹雪だからこそ主役であり、かつ、劇場版のような活躍ができたとそう解釈することもできるのです！

『艦これ』も兵器の特徴、歴史、背景を知っていれば、より深く楽しめます。もちろん、萌え要素から入っていって、実在した兵器を後で知るのもいいと思います。そして、大日本帝国海軍のみならず、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの艦船の擬人化を想像するのも楽しいですよね。妄想も膨らみます！

　いや〜、武器って本当にいいものですね〜。
（文＝二木知宏［スクラップロゴス］）

「武器で見る映画」過去記事はこちら