「ホラー映画大嫌い!」こそ見るべき!?『貞子vs伽椰子』おしっこ漏れちゃわないための鑑賞の手引き

■「最強vs最強」いざゴング!

 呪いの家、テレビ、裏庭の井戸と、会場の準備が整う。ここまでくれば、すでに10余人が死んでいるとはいえ、ワクワク感が抑えきれなくなっているだろう。赤コーナー(テレビ)から貞子選手が入場。続いて青コーナー(階段の陰)から、伽椰子選手の入場である。

 そうして、対戦の火ぶたは切って落とされた。その戦いは、まるで獰猛な野生動物が命をかけて食い合っているようにも見えたし、ようやく理想のパートナーを見つけたバレエダンサー同士が、嬉々として舞い踊っているようにも見えた。

『貞子vs伽椰子』が見たい。あの2人が戦ったらどうなるのか、見てみたい。

 そう考えるだけなら、誰にでもできる。筆者にだってできる。

 だが、それを実現させるために払われた関係者の苦労は察するにあまりある。

 本作鑑賞後に改めて『リング』と『呪怨』を見直してみると、両作は同じ「呪い」という現象をモチーフにしながら、「人に呪いがかかり、呪いが人を殺す」際のルールや条件はそれぞれにまったく別物だった。

 白石晃士監督はインタビューで「脚本づくりする上でのポイントは、2大キャラクターの良さをどう抽出して、バランスよく配置するかでした」(記事参照)と明かしている。

 異種格闘技戦が盛り上がるかどうかの絶対条件は、アリvs猪木の例を持ちだすまでもなく、そのルール設定によるところが大きい。双方が最大限に実力を発揮できるルールを敷き、2人のファンも、筆者のような初心者も、誰もが納得しうる決着を見せる。お祭り映画らしく、楽しく、面白く、とびきりに怖く。そんな、とことん難しい仕事を、本作はやってのけたと思う。今は、これまで忌避してきた『リング』『呪怨』シリーズのDVDを、目の前に積み上げたい気分だ。もちろん、白石監督の『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』シリーズも!

 だが、その一方で、観客とはやはり贅沢なものだ。エンドロールを見送ったあと、スクリーンの中央に屹立していたアイツを見ながら、こうも思うのだ。

「誰か、アイツを倒せる奴はいないのか……」

 時代はいつだって、最強を求めている。
(文/新越谷ノリヲ)

リング [DVD]

リング [DVD]

きっとくる~きっとくる~

「ホラー映画大嫌い!」こそ見るべき!?『貞子vs伽椰子』おしっこ漏れちゃわないための鑑賞の手引きのページです。おたぽるは、映画その他の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

PICK UP ギャラリー
写真new
写真
写真
写真
写真
写真

ギャラリー一覧

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!