『ザ・シンプソンズ』と『AKIRA』を“勝手に”コラボ!? 原作愛にあふれたマッシュアップ文化

 80年代のアメリカを代表するアニメで今も人気の『ザ・シンプソンズ』と、同じく80年代にコミックスが大ヒットし世界中でアニメ映画が話題を呼んだ『AKIRA』がコラボ(!?)したというトレーラー動画が話題を集めている。

■『ザ・シンプソンズ』のキャラクターで忠実に『AKIRA』予告編を再現

 話題のトレーラー動画は『バートキラ(Bartkira)』。『ザ・シンプソンズ』の主要キャラ“バート”と『AKIRA』を組み合わせた造語のようだ。

 1988年のアニメ『AKIRA』予告編を、『ザ・シンプソンズ』のキャラクターで忠実に(!?)再現した内容になっている。『ザ・シンプソンズ』の世界観を崩すこともなく、舞台となるネオ東京がシンプソン一家の住むスプリングフィールドになっているのをはじめ、バイクがスケートボードに、鉄雄がミルハウス・バン・ホーテンに置き換えられている。実際の『AKIRA』予告編と見比べてみても楽しめるだろう。

 このトレーラーに先駆けて、世界中の多くのイラストレーターがこの両作品を組み合わせて描いたコミックス版の『バートキラ』の制作が進んでおり、「Bartkira.com」で現在3巻まで読むことができる。この「Bartkira.com」はイギリスのアーティスト・ライアン・ハンフリィーズ氏が企画し、コミックアーティストのジェームズ・ハーヴィさんによって運営されている。その中で多くのアーティストの協力を得て、この『バートキラ』プロジェクトが行われているのだ。今年の3月にはこのプロジェクトで活動する6名のアーティストの原画展が東京・阿佐ヶ谷「ギャラリー白線」にて開催された。この動画をはじめ、これらの『バートキラ』作品がクリエイターたちのさまざまな共同作業を通して制作されていたというのは、けっこう意外かもしれない。

■“原作愛”に溢れたマッシュアップ文化

 今回の例のように、既存の有名なキャラクターなどをあくまでもパロディとして“引用”し、作品をつくりあげることは「マッシュアップ(mash up)」と呼ばれ、動画制作などを中心に昨今増えてきている。そこにはもちろん、インターネットの世界的な普及も背景にあるだろう。

 日本ではいわゆる「同人マンガ」などで“キャラクターの二次使用”が時折問題となることもあるが、アメリカの著作権法の下では「パロディ」は著作権を侵害していないと解釈され、このマッシュアップも今のところは問題ないようである。

 動画の解説文には、この動画は公式のものではなく、トレーラーを制作するにあたり、映象の知的所有権を持つFox Animation(『ザ・シンプソンズ』)にも東宝(『AKIRA』)にもなんら接触をしていないことを予め記している。「我々はファンの一員であり、これはなんら利益を伴わない自発的な創作活動である」と言及しているのだ。ちなみに動画の冒頭、映画館のスクリーンに「私たちを訴えないで下さい!」という日本語キャプションが映し出されている(笑)。

 当の『ザ・シンプソンズ』本家がマッシュアップを数多く行っていて、昨年は宮崎アニメの“ジブリキャラ”がシンプソンズの世界に総出演するマッシュアップ(?)映象が作られて、話題を呼んだ。

 またほかにも「Moon Animate Make-Up」というプロジェクトでは『美少女戦士セーラームーン』のマッシュアップ動画を数多くのクリエイターが協力して制作し、昨年YouTubeで公開している。

 このようにネット上では“原作愛”に溢れたマッシュアップ文化が自由に楽しまれているようだ。“草の根”のオタク文化が確実に成熟していることの現れかもしれない。
(文/仲田しんじ)

【参考】
・The Verge
http://www.theverge.com/2015/7/6/8899533/bartkira-trailer-the-simpsons-akira-anime

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音楽ジャンルで盛んなりけり。

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