東映映画スターに捧げ…られない!? 撮影現場の裏側もかいま見えた『トッキュウジャー』第38駅

 私色に作品を作りかえるのー、と楽しそうにカグラが台本に赤入れしていると、今度は主役の二人も行方不明に。某アニメの制作デスクなら「万策尽きたー」と途方に暮れるところですが、そこは16歳ながら芸歴5年の森高愛ちゃん、いやカグラ。「こんなこともあろうかと」と、しっかり代役を準備していました。

「状況が飲み込めないのだが……」「僕、カメラ担当だった気がするんだけど」

 なんということでしょう、そこにはまるで別人のように見違えた事件記者ペスカトーレの主役二人というか、完全に別人でさらにファンシーさというか電波さが増した衣装に着替えた明(演:長濱慎)とトカッチが。どう考えても前後がつながりませんが、カグラ監督は「いざとなったらCGでなんとかするから」と、山崎貴監督リスペクトな姿勢で撮影を続行します。いつの間にか事件記者のノワールから、どこかの令嬢カトリーヌ(明)とジャクリーン(トカッチ)のサスペンスっぽくなっていますが、このあたりの現場の迷走感、さすがは『北京原人 Who Are You?』や……もういいですか、そうですか。

 そんな完成前から敗戦処理なムードが漂いまくっているスタジオに、あっちへふらふら、こっちへふらふらのけん玉探偵ヒカリが登場。次々とキャストやスタッフが消えていく謎を究明していきます。主役の二人の車は駐車場に停められたまま、撮影所を出て行った記録もない。改めて調べてみると、先にいなくなったスタッフ全員も撮影所から出た記録はない。つまり、いなくなったはずの関係者はみんな、まだ撮影所にいる。そして最近、おばけが出るという噂がたち、使われていない試写室がある……と、すべて守衛さんから聞いたそうです。トカッチ曰く「それって守衛さんが名探偵なんじゃ?」……うん、まあそうだね。

 慌ててライトたちが試写室に駆けつけると、そこにはフィルムで椅子にしばりつけられたスタッフとキャストたちが。もちろん犯人はフィルムシャドーでした。フィルムシャドーは、スタッフの悪夢をフィルムに定着させ、その映画を全国ロードショーすることで世界中に闇を拡げようとしていたのです。そのタイトルは『闇っとモンスターZ』! 日本でいまいちだった『キャプテンハーロック』や『聖闘士星矢』が海外では好評な東映さんだけに妙に説得力がある計画ですが、「せめていまなら闇々ウオッチにしないと」とか「いつものヒーロー同士が戦っている劇場版のほうが闇が強くね?」などネット上の評価はいまひとつ。ううむ、クールジャパンは難しいのう。

「そんな映画、絶対認めない」と、カグラ監督が意外な映画愛を見せて、ライトたちはトッキュウジャーに変身。いつもは石切り場に出張するアクションシーンも、今回は撮影場内で。フィルムシャドーの戦闘時のかけ声「カット、カット」が「予算カット、カット」に聞こえてきました。そんな世知辛い情勢を反映してか、前半で匂わせていたハイパー化は今回なし。代わりの久々のレインボーラッシュは、なんと掟破りの“守衛さん”を発射! 実はこの守衛さんは『五星戦隊ダイレンジャー』のシシレンジャーや平成ゴジラのスーツアクターとして知られる喜多川2tomさん。『獣拳戦隊ゲキレンジャー』では、中国拳法指導として参加したほどの老師だけに、スーパーマンよろしく飛行姿勢でフィルムシャドーに拳を喰らわせると、そのまま相手を連打、連打! 止めにアゴへの一撃で、フィルムシャドーをはるか空の彼方へと追いやります。あまりの喜多川さんのチートっぷりに「最強伝説 守衛誕生」「守衛さんいれば、今回トッキュウジャーいらなくない?」「最後に全部持ってったwww」と、手のひら返しでネット民も絶賛。みんな撮影所に見学に行く時は、入り口で守衛さんに挨拶するの忘れんなよ。

「スケール感1000倍アップ」と、ハリウッドの続編映画のパターンで巨大介したフィルムシャドーには、こちらも物量攻めのトッキュウレインボーに搭乗して応戦。フィルムシャドーの暗闇に包まれてお化けを見せる「ホラーの世界」攻撃にトッキュウジャー一同が大騒ぎするのは、中身はまだまだ子供な証拠でしょうか。ちなみにここでフィルムシャドーがこぼした「決してひとりでは見ないでください」は、誇大キャッチで一世を風靡した東宝東和が、ダリオ・アルジェント監督のホラー映画『サスペリア』につけたキャッチです。

 ひとり、クールなヒカリの「あまり怖くない」とのつぶやきで、我に返った一同は「怖くないホラーは見る価値なし」と、小学生特有の変わり身でトッキュウレインボーファイナルスラッシュを放ちます。それを受けたフィルムシャドーは「これが私のエンドマーク…Fin」と文字通り爆死するのでした。

 一件落着! ……と思ったら烈車の中で車掌さん(演:関根勤)より映画『事件記者ペスカトーレ』の記事が雑誌に載っているとの報告が。「予測不能の展開」「ハードボイルドを装ったコメディであり、コメディを装ったミステリー」「最後の戦闘シーンはハリウッドを超えた迫力」のフルCGアニメーションと大絶賛。カメラ目線のカグラに「絶対に映画見に行こうね」とささやかれる、1月の劇場版のステマ感あふれる38駅でした。

 さて烈車戦隊トッキュウジャー。勝利のイマジネーション! 出発進行!! 次の停車駅は、一年で一番イマジネーションが満ちあふれるクリスマス。シャドーラインの力も衰えているはずだからと、ライトたちが浮かれていると、明が何故か突然の失踪。さらにこれまでに倒したはずのシャドー怪人たちが出現するという異常事態が巻き起こる「第39駅 終わりのはじまり」です。これまでにないスケールで展開するクリスマス三部作、聖夜に予定がある人も、そうでない人も、乗り遅れのないよう、ご注意ください!!

 EDの列車紹介は北総鉄道「7300形」、名古屋鉄道「2200系」、沖縄都市モノレール「(1000形)ゆいレール」でした。
(文/雑賀洋平)

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