TVアニメ『安達としまむら』百合なのか百合じゃないのか?第1話

TVアニメ「安達としまむら」公式サイトより

 なんとも不思議な空気感の百合っぽい、だけどそれだけじゃない? 女子同士のなんとも言えない距離感が丁寧に描かれた1話。『安達としまむら』がスタートした。
 
 学校をサボリがちな二人が、体育館の二階で出会い、それからなんとなくその時間を共有しあうようになったらしい。今日も、安達としまむらは体育館の二階で卓球をして授業をさぼっていた。

 もう少しで3時間目がはじまるころだと思っていたら、3時間目は体育の授業で二人きりの空間だった場所に大勢の生徒がやってくる。

 ばれないように二人して小さくなって隠れるが、しまむらは「いることがバレたら2階の窓から飛び降りようか」などと軽口をたたく。安達は骨が折れると心配しだし、今日の昼には牛乳を飲もうかな、などと言い出すなど、何となく二人の性格が伝わってくるやり取りが続く。

 一話目だからかもしれないが、作画がとても丁寧で女子特有の丸みとかふわっとした感じとか、お肌のつやっとさとかが全面に出ていてとにかく二人とも滅茶苦茶可愛い。

 そして気になるのはこの二人だけではない。冒頭などシーンの切り替わりの際に現れる宇宙服の姿。安達としまむらではないらしいが、声の様子からして女子のようだが、「しゅこー、しゅこー」という空気音? 呼吸音? を出しながら描写されるこの宇宙服の正体は一体? とりあえずまだ二人には遭遇していない様子だが?

 二人が初めて出会ったのも、この体育館の二階だった。お互いクラスメイトらしいというくらいしか互いのことを知らず、ここであったからといって急に仲良く話し出す、という性格でもなかった。きっかけになったのは、セミ。窓の近くで鳴いていたセミがうるさく、飛んでいってもらおうと窓を叩いたら、そのまま落下してしまったセミを一緒に木に戻したことから、二人はただの名前もなんとなくしか覚えていなかったクラスメイトから一歩距離が近づいたようだ。

 二人の関係はそうやって始まり、二人だけで完結していたが、世界というのはずっともっと広い。体育館から出て、外に出ればお互いに別の人間関係が広がっている。しまむらは学校帰りの本屋でクラスメイトの日野と永藤に出会う。彼女たちも安達と同じように、だけど違う関係の「友達」だ。

 日野と永藤は幼稚園からの友人らしく、その関係性としまむらとの関係性はやはり別物だと、しまむらも感じていた。

 そんな二人と共に本屋から出て帰路につくと、たまたまベンチに座っていた安達と遭遇する。今は日野たちと一緒にいることもあって、二人は目があったにもかかわらず、その場は互いに声をかけることなくやり過ごした。

 日野たちも、安達のことをみたことはあるが、名前が思い出せない、という状態らしく二人から話しかけることもなかった。

 翌日、体育館にいっても安達はやってこなかった。と思ったら、かなり遅れての登場。どうやら学校自体休もうと思っていたようだ。だが、卓球している音が聞こえたから顔をだしたのだという。それだけ言うと、安達は「帰る」といって出ていこうとしてまう。しまむらはそんな安達に対して「これから一緒に授業受けようと、一緒に帰ろうだったらどっちがいい?」と問いかける。 安達は「じゃあ下校時刻までどこかで時間潰してる」と答えて二人はいったん別れることに。

 ここまでして頑なに授業を受けないと、高校生だと退学にならないのだろうか? 何か理由があるのか?

 約束通り授業追わりに合流するときには、雨が降っていた。一度家に帰ったのか安達は傘をさしているが、傘を持ってこなかったしまむらは既に濡れている。

 お互い正反対の家であることが発覚したが、安達の家に向かって一緒に帰ることに。安達の自転車に二人乗りして、雨に濡れながら帰る姿は青春という感じが溢れている。 というか自転車で濡れて帰るならしまむらの家に送って揚げればいいのに……。

 自転車にのって帰宅する道すがら、安達は「しまむらって友達いるんだね」と、昨日の話に触れる。しまむらも「安達は友達いるの?」と聞くと「しまむら位かな」と答える。あああ、安達にはしまむらしかおらず、お互いがそうだと思ってると昨日のは少しショックを受ける気持ちもあったのではないだろうか……。

 結局雨の中安達宅についた後、しまむらは一人また逆方向の自宅に帰らなければならない。安達は傘とタオルをしまむらに渡し「また明日」と別れる。一人で帰宅しながらも「変な一日だった」と今日を振り返るしまむらはどこか満足そうな顔をしていた。

 次の日、二人でまたしても卓球をしていた体育館二階に、来訪者が現れる。日野と永藤だ。しまむらが卓球の本を読んでいたことから、さぼっているのはここだろうとあたりをつけていたのだ。

 二人の時間を邪魔されたからか、ひとみしりを発動したのか、安達の表情は硬い。安達がいることを知らなかった日野たちも、どこかオドオドしたような空気をだす。片っぽだけが友達な場合の微妙な空気感。あるある。

 4人で多少なりとも会話をし、昼休みを共に過ごしたのだが、この次の日、安達は体育館に現れなかった。

 しまむらも、安達が来なかった理由はなんとなくわかっていた。安達としまむらの二人にとって、昨日のような日野たちとのような空気感は必要なかったのだ。お互いの事を知っているようで全く知らない間柄。だけど一緒にいてどこか安心するような共犯関係のような空気感。それが居心地よかったのだ。

 それを壊された、壊したことでもしかしたらもうあの空間に安達が来てくれなくなってしまったのではないか……と考えながら帰宅していたしまむら。

 だが、思ったよりもはやく安達と再会することになる。安達のことを考えながら帰宅していた最中、後ろから自転車で突っ込んできたのだ。

 以前、しまむらが勝ってきてくれた購買のパンを今日は安達が買ってきてくれていたのだ。だが、昼休み中にまた日野たちがいたら……と思うと体育館に行けなかったのだ。帰宅中にも、また二人がいたら渡せなかったと言っている安達の言葉から諸々を察するしまむら。

 そのまま二人は一緒に歩き出す。今日はしまむらの家まで一緒に帰る。この間安達の家まで一緒に帰ったように。

 この二人の距離感ー!

 そしてこの空気感と無駄に説明をしないけど全部わかるよ!! というこの感じがたまらない1話。

 ここからもっと百合展開が加速していくのかもしれないが、このたまらない距離感のままでずっと続いてほしい気もする。女性同士の関係とは色々難しいものもあるが、萌系作品によくあるデレデレの関係じゃなくて、繊細で壊れそうな、等身大のようで嘘みたいな、そんな作品であってほしい。

 そしてそこに異物として登場する宇宙服。まさかのCパートでしまむらとご対面。果たして彼女(?)の正体は? なんで宇宙服来てるんだろ? この不思議キャラについての展開にも期待大だ。

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