アニメ『ソマリと森の神様』悲しすぎる真実を知ったウゾイはハイトラを拒絶し……

TVアニメ「ソマリと森の神様」公式サイトより

命の重さ

 ウゾイに襲われたソマリ。しかし、ウゾイは悪役に徹することができなかった。ハイトラを助けたい気持ちは本物だが、仲良くなったソマリを手にかけるということをできるほど非道にもなり切れない。

 ソマリもウゾイの気持ちを感じ取ったのか、助けにきたお父さんにも彼女を責めないでやってほしいと懇願する。この境遇はいつか来るソマリとゴーレムにも当てはまってしまうかもしれない。視聴者としてもいたたまれない気持ちになってしまう。

 人間が生き延びることが難しい世界。そしてゴーレムの寿命などどうしようもない現実が命には付きまとう。

ハイトラの真実

 無事ソマリも戻り、ウゾイも罪を犯すことがなく、一安心となった夜。ハイトラは自身の過去をゴーレムに打ち明け始めた。なぜ人間の自分がウゾイと旅を続けるのか。ハイトラの顔にあるウゾイの目元や体に生える羽に似たものの正体。それは悲しく辛い過去が関係していた。
 
 元々数少ない人間同士で暮らしていたハイトラ。彼には妻子がおり、厳しい環境に置かれつつも幸せな生活を送っていた。だが異形たちに村が襲われて離散。ハイトラは仲間たちが続々と捕まる姿を見てもなお家族とともに洞窟に逃げ込んだ。

 いつ異形に襲われるかわからない。命の危機を身近に感じながら生活しているとたまたま異形の生物を発見。それがウゾイの母だったのだ。

 ハイトラは異形に対する憎しみのすべてをウゾイの母にぶつける形で殺害。そして遺体を洞窟に持ち帰り妻子に食料として食べさせた。しかし、その直後から妻子は嘔吐を繰り返す。さらに体中から羽が生え、苦しみながら死んでいった。ハイトラにも同じ症状が表れたが、かろうじて死ぬことはなかった。

 妻子の死体を前にうなだれていたところに現れたのが、母を探してさまよっていたウゾイだったのだ 罪悪感から、ウゾイと共にいることを選んだハイトラ。しかし彼にはウゾイに対して後ろめたさがあるために無邪気に懐くウゾイと家族であると言い切ることができないでいた。
 
 ウゾイは密に聞いてしまっていた。今まで信じていた、大好きだったハイトラに嘘をつかれていた。そう解釈したウゾイは心がつぶれそうになるのを必死でこらえる。自分とハイトラのゆるぎないと信じていた関係に、嘘があったのだ。そう思い塞ぎこむ。次の日顔を合わせてもぎこちなくなってしまうも、旅は続く。

ウゾイの決めた答え

 この日はいつもより風が強く竜巻も発生しやすくなっていた。注意して進んでいたものの、竜の巻風とよばれる巨大な台風に彼らの乗った荷馬車が巻き込まれウゾイとソマリは飛ばされてしまう。

 一瞬ハイトラがウゾイの腕をつかんだで食い止めた。だが、ウゾイが一瞬それを拒んだようにも見えた。ハイトラはその時、ウゾイが昨晩の話を聞いてしまったことを悟る。

 ゴーレムお父さんの冷静な判断により、ソマリたちが飛んで行ったであろう方向が早い段階で判明。無事である確率も高いとのこと。その判断通り、ソマリ達は無事に着地し、ケガなどもない。

 ソマリはウゾイと二人きりの間、本当の家族・血のつながった家族ではなくとも「大好きな気持ちは嘘じゃない」とウゾイに言い放つ。血のつながり、嘘か本当かだけが大切なことなのではなく自分の意志で好きな人と一緒にいることを選んでいることが真実であり大切なことなのだ。このソマリの台詞がウゾイの心の中でくすぶっていた気持ちに活を入れたようだ。

 しかし、ハイトラは罪悪感や贖罪の気持ちから自らの命を投げ出そうとする。ソマリ達を襲うモンスターを自分を囮にして回避しようとしたのだ。だがそんなことをウゾイが許すはずもない。やっとソマリの言葉で自分の本当の望みをしった中でハイトラが自ら死を選んでしまっては元も子もない。
 
 ウゾイは自分のために生きてずっと一緒にいることがハイトラの償いになることを指摘し、ハイトラもそれを受け入れる。罪の意識も起こしてしまった事象も消えない。でもだからこそ、それを乗り越えても二人は一緒に生きていくことを選んだ。病気が改善する見通しはついていないが、二人には長く一緒の時を巣ご越してもらいたい。

 対象は異なりつつも、ハイトラもゴーレムも時間制限がある命。この問題との取り組み方などこのエピソードはかなりハードな展開だった。でもこれから本当にお父さんの寿命という目を背けることができない問題が二人の旅路の前に立ちはだかってくる。こちらも覚悟を決めて視聴しなければならない。
(文=三澤凛)

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