「平成ヤラカシ史」vol.7

ジャニーズファンのリアルなヤラカシ事情――ネットに動画が晒された“暴走系”元有名ヤラカシの末路(後編)

「親はまず学校に呼ばれた時から『どういう教育されてるんですか?』って言われてました(笑)。Twitterにめっちゃ潰し垢を作られて晒されてたんですけど、それを親も知ってて『あんた何であんなの作られてるの! 整形前晒されてるよ! 早く消してもらいなさい!』って言われて、そこなんだ……と思って。喧嘩して帰ってくると、『もうおばさんとの喧嘩やめなさーい!』って言われてました」

 微妙にズレていてちょっとウケます。

 そんなゆりさんも、現在はメンズ地下アイドルのオタクとして普通の(?)オタク人生を歩んでいる模様です。確かにメンズ地下アイドルのオタクって、元オリキや元ヤラカシが多いような印象があります。というかヘビーなオタクの行き着く先って結局そこなのかもしれませんね……。

 というのも、ゆりさんやゆりさんの身内はオリキに戻りたくても戻れなかったのだそうです。

「時間が経って、最終的にちゃっかりとして一緒に動いてた友達7人くらい、全員『オリキがしたい』って結論に達して、King & Prince・平野紫耀の仕切りの人に相談したんですよ。そしたら『ぶっちゃけ時間が経ってるからオリキできるけど、ファミの人たちとつーこさんと喋って決めて』って言われて。7人でジャニーズ事務所に行って『話があるのでつーこさんを出してください』って言ったら受付の人がつーこさんに電話してくれたんですけど、『直接話せないからFAXで送ってくれ』って言われました。でも暴走系のオタクだったから(笑)、『今話してえんだよ! 上の者出せ! ゆりって名前出せばわかるから!』って警備員と喧嘩して。受付の電話でつーこさんと話したけど、列禁は解けなかった。ヤラカシのトップの人たちにも、つーこさんにも『君たちが一番のちゃっかり黄金期メンバーだよ』『一回やったことは消えないからね』って言われて、オリキもできずに、今は当時の友達は皆ジャニオタを辞めてます」

 一度外道に至ってしまった者はなかなか正の道に戻ることは許されない。厳しい宿命です。

「未だに自担とは喋りたいなとは思います。覚えてる? から聞きたい(笑)。でもやっぱり怖がらせていたとは思うのでそれはよくなかったですね。申し訳なかったし、離れてよかったのかもしれない。離れると未練はないです。今は地下アイドルしか好きじゃない。地下アイドルに行ったら幸せすぎて、自担なんかちっぽけだったなと思う。幸せじゃないことに全力で突っ走ってたのがすごかったな、って冷静になった」

* * *

 さて、連載も今回で最終回です。

 私自身がもともと若手俳優のストーカーだったという過去もあり、毎回なぜか切ない気持ちで記事を執筆していました。ヤラカシの数だけストーリーがある。それと同時に、時代背景、特にコミュニケーションツールとヤラカシ文化には非常に深い関連性がある、ということを発見し、やっぱりオタクって面白いなあ、と改めて思った次第です。

 というのも、00年代は「メルマガ」「前略プロフィール」などの存在とガラケー文化により、ヤラカシ個々人がヤラカシレポートを配信し、その過程で「平成処女軍団」が一種の伝説のようになってしまったことが、まさに「メルマガ」という配信したらそれっきりの媒体の特性を象徴しています。さらに10年代に入ると、ウィルコムがLINEに取って代わられ、「タレコミ」が登場し、Twitterを通した相互形のコミュニケーションが発達したことで、ヤラカシ個々人のエピソードが00年代よりはっきりと後世に残る形になっていることも特徴ですね。悪いことをしたらすぐスクショが晒される世の中ですし、さらに「HiHi Jets」のメンバーが謹慎になった事件にも顕著なように、インスタグラムというツールの与えるインパクトも見逃せません。

 また、我々の小学校・中学校時代を思い出してみても女子の集団には「カースト」がつきものですが、やはりオリキ同様ヤラカシにも堂々と行動できる「強め」、それに隠れて行動する「ちゃっかり」、さらにそれらのカーストの外でサイコストーカー的行為を繰り広げる「リアスト」などさまざまな人種で織り成されるカーストが存在します。やはりアウトローにも貴賤あり、が真理なのです。

 これからのヤラカシは、ストーカーオタクはどうなってゆくのでしょうか? ITの発展と共に想像の斜め上に進化していくであろう10年後の未来なんかが、今は気になって気になって仕方がありません。

 まあ、でもストーカーって普通に犯罪なので、くれぐれも辞めておきましょうね!(終)

(文=めりぴょん/山野萌絵)

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