「平成ヤラカシ史」vol.5

ジャニーズファンのリアルなヤラカシ事情――「自担に対する気持ちをこじらせすぎて」“リアスト化”した元Jr.担の告白

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<平成ヤラカシ史とは……ジャニオタの間ではインターネットで語ることがタブーとされている「オリキ」や「ヤラカシ」といったジャニーズの裏追っかけ文化について山野萌絵がさまざまなオタク・元オタクに取材し、これまで文章に起こされてこなかった歴史を紐解こうと頑張るシリーズです>

【これまでの記事はこちらから】
①Hey! Say! JUMP・中島裕翔のファン逮捕で話題になった「平成処女軍団」“ヤラカシ”の存在は“オリキ”の存在と表裏一体!?

②ジャニーズファンのリアルなヤラカシ事情――元Jr.担・20代女性の場合「『強め』に潰されるのが怖かった」

③ジャニーズファンのリアルなヤラカシ事情――元キスマイ担・30代女性が明かすその変遷「メルマガや前略でレポが流行」

④ジャニーズファンのリアルなヤラカシ事情――「平成処女軍団」と時期を共にした女性「Jr.とヤラカシの繋がりはある」

 連載第5回では、2000年代後半から2010年代後半に視点を戻し、これまで登場しなかった属性のヤラカシ、「リアスト」にインタビューを敢行していきます。

 ヤラカシと一口に言っても「強め」「ちゃっかり」「リアスト」という分類があり、楽屋口の前から追っかけることができるのがヤラカシ、乗り換えの駅などで待つのがちゃっかり、そしてアイドルの学校や家にまで行ってしまうのがリアストという細かい属性が存在します。まあ、全員ストーカーなことには変わりがないのですが……。

 取材に応じてくれたのは20代前半のあいりさん(仮名)。あいりさんの担当は15年当時中学生だったジャニーズJr.です。彼女は親がSexyZone・菊池風磨担というジャニヲタの超エリートとして育ち、高校生の時にオリキデビューを果たします。

「最初はおとなしく列に並んでました。といってもちょうど私が現場に行ってた頃は自担がそんなに有名じゃなかったから、舞台にローテーションで出てて、入りに行かないと舞台に出るかどうかも確かじゃない。で、入りに行ってたんだけどまあ人がいない(笑)。仕切りがいない日もあって、私のオンリーか、仕切りと私のツーリーとか」

「ツーリー」とはジャニオタ和製英語で「自分ともう1人のオタクしか現場にいない状態」を指します。

「Jr.によってはヤラカシに出る公演のスケジュールを教えてる子もいたけど、自分の足で動くしかない。最後にオリキとして列に並んだのは16年のシアタークリエ『ジャニーズ銀座』公演だから、春頃ですね。ヤラカシに転身したきっかけは周りにそういう子が多かったから」

 ここまで話を聞いてきて個人的に驚きを感じたのは、ヤラカシになるオタクの動機が「友達がやってるから」というものが非常に多かったことです。まあそう言われてみれば確かに、ヤラカシって単独でいきなりなるものでもないような気がしますが……。

 彼女に「2016年当時は楽屋口の前で待ててるヤラカシは『強め』って呼ばれてた?」という質問を投げかけると、「いや、言わない」との返事が。連載第2回に登場したまゆさんは14年頃までは「強め」という語を使っていたようなので、この間に「強め」という語は廃れたのでしょうか。

「山野さんが言うような『強め』と『ちゃっかり』の境界線は曖昧になってると思います。『強め』は単に『ヤラカシ』って呼ばれてた。古い世代の人達が『強め』って言ってましたね。昔からずっといるヤラカシはもう身内感があるから、見たことない顔がいれば『ちゃっかり』って言われて怒られたり、携帯の画面を割られたり。ヤラカシの暴力は今も昔も変わらないと思う」

 つまり、「ヤラカシ」という単語が「広義のヤラカシ=ストーカー的オタク全体」と「狭義のヤラカシ=カースト上位のヤラカシ」の2つの意味合いを持つようになっていったようです。

「私は、オリキといえばオリキだったけど……。オリキって、ヤラカシの友達がいたら列には並べないんです。一緒にいるのを仕切りに見られたら仕切りに声をかけられたりする。皆の前で『ヤラカシとつるんでるのに何並んでるの? みんなに謝れ』って謝らされたりしてるの見たことあります(笑)。私はすごく有名なヤラカシと友達だったんだけど、うまくやってたから列に並んでも大丈夫でした。現場以外のところでしか会わないし、現場で会っても知らない人のフリ。だから友達の中には『列に並びたいから』って理由で私たちと友達を辞める子もいた。私は自担の列に徐々に人が増えて、並ぶのが嫌になってきたので列に並ぶのを辞めて、ヤラカシの友達とも堂々と仲良くするようになりました」

 その「すごく有名なヤラカシ」が次回登場するゆりさんなのですが、それはさておいて、あいりさんのヤラカシスタイルとは?

「私はレッスン場や稽古場を追ったりというよりは、1人で勝手に動くタイプでした。リアストですね。自担が(ヤラカシ事情について)何も知らない頃は、話しかけたりしてました。その頃はまだ可愛かった(笑)。今は逃げられると思います。ヤラカシを相手にしなくなる時期ってアイドル人それぞれだと思う。ついていったら到着したのが警察署だったとかって話はよくあります」

 私が「その話、この取材で聞くの3回目くらい」と言うとあいりさんは「じゃあお兄ちゃんJr.とか、ファミとかがヤラカシへの対策として提案してるんじゃない?」という仮説を提示しました。どうやらジャニーズ内部でも綿々と受け継がれている『伝統』のようです。

 あいりさんの話を聞いていると、とてもここには書けないようなレベルの衝撃的なサイコストーカーエピソードが多く、これまで話を聞いてきた中でもまたちょっとタイプの違うヤラカシというか……完全なストーカーという感じがします。しかし本人に直接害はないし……と思ってしまうのは私の感覚が麻痺してきた証拠です。

「同担には目立ったヤラカシもいなかったし、コソコソしてたから大丈夫でした。今だから言える話ですね(笑)」

 では、あいりさんがヤラカシを辞めたきっかけは?

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