まる寝子 ルポルタージュ

性別を越境するエロマンガの現在 TSFを描き続けて来た描き手・まる寝子の十余年

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『TSあらかると』※画像は編集部で加工しております

 TSFと呼ばれる創作のジャンルががある。<transsexual fiction>または<transsexual fantasy>の略称だ。描かれるのは文字通り異性への性転換。フィクションであるから性転換の手法は様々。ずっと以前から、多くの作品で物語を動かす要素として使い古されてきたもの。

 でも、それはここ十年あまりの間に進化することが著しい。そう、男性向けのエロマンガというジャンルで。男性が謎の薬や魔法、はたまた意識だけを憑依する……ありとあらゆる手段で女の身体を得てセックスへと至る物語が描かれている。ゆえに今や「女体化」という言葉はTSFとほぼ同義で使われるようになった。

 まだ決して世の中を席捲しているわけではないが、出版社がビジネスとして成立し、優れた描き手ならば同人誌で生活が潤う程度には存在感のあるジャンルになっている。マニアックだけれども、そこそこメジャーなジャンルという表現が、ちぐはぐだけれどももっとも似合うというところだ。

 いま、男女の性差や性自認はあちこちで論じられるメジャーなトピックスになっている。女性の地位だとかLGBTという言葉をニュースで目にしない日が少ない。様々な人が自分のよりどころとする「性」を軸にして主張を繰り広げている。なるほど、自分が男なのか女なのか。あるいは、その二つにはくくられることのない存在なのか。主張は人の数だけ存在する。

 いたるところに幾つものこだまが響いている。自分の寄る辺とする「性」がいかに社会的に不合理な立場に置かれているのか、騒がしくて、ケバケバしいこだまは響き渡る。けれど、ふと立ち止まって考えると、それはどこかおかしいのではないかと思う。寄る辺とする「性」が、人間一人はひとつだけしか持っていないことがあり得るのか。

 TSFというジャンルは、そのこだまにノーを叩きつける。そう、TSF……すなわち女体化を扱うエロマンガを読み、興奮し、オナニーするたいていの読者は男性である。とすると、読み手が感情移入する先は物語の中で女になった男。すなわち、自分自身が女として、セックスしたり、時には凌辱されていることに興奮する。その興奮の刹那に読み手は果たして男女のどちらであるのか。この性の越境する表現は、年を追うごとに進化して止まない。

 ここに一人の描き手がいる……というより、ぼくが最初にTSFというジャンルの存在感を覚えたのが、その描き手だった。名前は、まる寝子

 ぼくが偶然読んだのは、彼の二冊目の単行本『ツイてる娘』だった。発行は2009年12月なので、もう10年前の作品集である。その冒頭に収録されたのは「カスタムガール」。主人公が自身が起動したゲームの世界に引き込まれ、自分がもっとも好みとする要素を詰め込んだ女の子となり、ふたなり(註:エロマンガで用いられる両性具有の意)の少女に、犯され喘ぐという物語。

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『ツイてる娘』※画像は編集部で加工しております

 この単行本の収録作でTSFを扱っていたのは、この作品ひとつだけ。ところが、この十年間の間に、まる寝子は途切れることなく作品を発表し続けた。そこで描かれるのは、ほとんどがTSF。まれに、ふたなりとなっていた。途中、エロマンガではなく一般作として連載した『ハイブリッド・ガールフレンド』でも、作品に登場したのはTSFとふたなりであった。このジャンルが存在感を強めるのと同じように、まる寝子の作品も著しく進化していった。

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