『ウォーキング・デッド 』シーズン8第4話 失意のエゼキエル王…シヴァとジェリーの忠誠心に涙

 第3話はエゼキエル王とキャロルのグループが襲撃されたところで終わった。

 第4話の冒頭は、時間が逆行し、エゼキエル王がキングダムの人々を奮い立たせ“We are the one!”(我々はひとつだ!)と叫びあい、結束を固めて救世主たちとの決戦に挑もうとしているシーンからであった。みんなが“We are the one!”と叫んで肩を組みあい始めると、キャロルが「えっ、何これ? ちょっとさむっ……」と戸惑いの微笑を浮かべるなんとも印象的だ。

 時間軸がもとに戻ると、襲撃によりキングダムグループはほぼ全滅状態であることが分かった。前回のレビューの最後で「何名か撃たれた」と書いたが、とんでもなかった。エゼキエル王が目を覚ますと、周囲には誰のか分からない内臓と手足が散らばり、風穴が空いた死体だらけ。エゼキエル王は臣下たちが身を挺して守ってくれたから命は助かったものの、彼も足は撃たれてしまっていた。

 あまりの光景に絶望を覚えるエゼキエル王。しかしうかうかしていられない。すぐに次の恐怖が襲い掛かってくる。そう、転化だ。案の定、つい数分前まで仲間だった人間がウォーカーになって今度は自分に向かってくるではないか。次々と仲間が転化していくなか、その場に留まっていたら食い殺されるだけだと判断したエゼキエル王はなんとか足を引きずりながら退散を図る。

 ここで視聴者の疑問が生まれるはずだ。

 そういえばキャロルは? 
 彼女もまさかやられてしまった?

 いやいや、まさこんなところでキャロルが死ぬわけがない。ウォーキング・デッド“最強の戦士”の異名を誇る彼女だ。グループがほぼ全滅するような銃弾の雨あられを受けていても、彼女は無傷なのである。むしとひとりさっさと目的のビルに侵入し、エゼキエルグループを壊滅させた武器を奪いに行っていた。ランボーもビックリの迅速っぷりだ。いつの間に、どうやって侵入したのか、そもそもなぜ無傷なのか、というツッコミは野暮というもの。これはもうキャロルだから、としか説明が付けられない彼女の特殊能力だ。

 もちろんビル内侵入後もキャロルはすさまじい戦闘力と適応能力を見せ、救世主たちと戦闘を繰り返す。しかし、さすがにひとりでの抵抗には限界があり、なかなか思うようにはいかない。戦闘途中で、グループを全滅に追いやった武器の存在を知り、またその武器が聖域まで運び出されようとしていることを知る。

 一方、退散しようとしているエゼキエル王は、途中でひっそりと隠れていた救世主のメンバーに捕らえられ、聖域まで連行するとして、車のある場所まで一緒に移動させられる。

 キャロルは武器を追ってビルの外に出てみると、救世主のメンバーがそれらを車に乗せ、いまにも出発しようとしていた。そこで阻止するべく、派手な銃撃戦へとなだれこんでしまう。だがこれは結果的には幸運につながる。銃撃戦の音にウォーカーたちが反応し、キャロルたちのほうへと集まり始めたのだ。

 キャロルはウォーカーたちに敷地が囲まれていることに気づき、とっさに機転を利かせ、やつらをビルの敷地内に誘い込み、救世主たちを襲わせることに成功。このまま武器を奪えるかと思いきや、今度は敷地の外でエゼキエル王とジェリーがウォーカーたちに囲まれ危機一髪なことに気が付く。

 エゼキエル王は途中まで救世主に連行されていたが、最終的に殺されかける。その瞬間に、ジェリーが自慢の大斧で救ったのだ。しかし、ジェリーも第3話で撃たれたように見えたんだけが……。それに、あのウォーカーの大群をその巨体でどうやって凌いできたのか?  とツッコミどころは無数にあるが、とにかくエゼキエル王を救うために彼は舞い戻り、そしていまも王を守ろうと必死に戦っているのだ。

 キャロルは仲間を見捨てることができず、ウォーカーたちを一掃。しかしそのすきに武器は運び出されてしまう。作戦は失敗か……と思ったその瞬間、遠くから聞えてきたのはバイクの音。なんとダリルたちが武器を運ぶ車を追跡し始めたのだ。

 ヒーローは遅れて現れるというが、遅れすぎかつ登場がかっこよ良すぎる。まさにアメリカンヒーローだ。もちろん無傷で撃退成功。ダリルとリックの強さも泥臭いながらもはんぱじゃない。

 武器のことはふたりに任せ、エザキエル王とキャロル、そしてジェリーは退散するも、エザキエル王が足に大けがを負っているために、思うように前に進まない。大群のウォーカーたちと小戦闘を繰り返しながら必死に逃げる。深い森の中で、小川に道を阻まれ、そこにも大量のウォーカーが待ち構えられていると、さすがのエゼキエル王もあきらめムードになり、「先に行け」と足でまといの自分を置いていくように指示。ジェリーは王を置いていくことなどできないともちろん拒否するもの、エゼキエル王は「私は王ではない」「つまらない男だ」「目の前が現実なんだ」と、自分は本当はただの男で、周囲の求める自分を演じていただけなのだと懺悔する。もちろんそんなことはジェリーも百も承知なのだろうが、王ではなく、ひとりの人間としての姿が浮き彫りとなり、複雑な表情を浮かべる。

 実際、キャロルの残弾もほとんどなくなり、これ以上一緒に進むのは無理なのでは……と思われたその瞬間、目の前のウォーカー集団に愛虎・シヴァが襲い掛かる。ウォーカーたちがシヴァに気を取られている間に、3人はその場を離れる。シヴァは単体であれば無敵なのだが、残念ながら数に勝るウォーカーたちの前に力尽きてしまう。それを見届けるしかなかったエザキエル王の虚無さがなんとも胸を苦しくさせる。エゼキエル王に献身的なシヴァだったために、悲しみにくれた視聴者も多かったはずだ。

 シヴァの犠牲、そしてほぼ全滅というかたちであったものの3人は無事にキングダムに生還する。彼らを迎え入れる人々は、たった3人の帰還に戸惑う。しかし、エザキエル王は何も言うことなく、みんなの前から立ち去る。

 第4話はこれまで快進撃だったキングダムグループが一瞬で全滅したことで、エザキエル王が自分が王として存在していた意味を問いただす回であった。

 あれだけ大勢いたのに、生き残ったのは自分を含めたった3人。自分は大けがを負ったために、無事というにはほど遠い状態。仲間を失った悲しみと、王の存在意義、これらが5話以降にどうエゼキエル王、そしてジェリーに影響を与えるかが気になるところだ。恐らくキャロルは平常運転だろう。彼女はそれ以上につらい経験を何度もしているから、今回の危機は程度が軽い部類だったと思われる。しかし、エゼキエル王は戦闘訓練していたとはいえ、実戦経験はほとんどなく、ある意味、非現実世界に生きていたわけだ。そう、彼もアレクサンドリアの元リーダー・ティアナと同じく現実から目を背けていた。それをまざまざとを突きつけられたショックは計り知れない。

 だがジェリーが生き残ってくれたことは不幸中の幸いだ。彼まで失っていたら、きっとエゼキエル王は生きてキングダムに戻っても来られなかっただろう。フルボッコにされ、事実上の作戦失敗となったキングダムグループだが、5話以降はジェリーが支えになってエゼキエル王復活まで導いてほしい。

 さて、第4話はほぼキングダムグループの時間軸だったので、他のグループがどうなったのか、一切分からなかった。第1話のリックの回想や涙の意味、ニーガンと一緒になってしまい死亡フラグ立ちまくりのゲイブリエル、救世主を捕虜にしたヒルトップのその後、など気になるところだらけだ。もちろんダリルとリックのその後も気になる。息がぴったりのふたりだが、前話のモラレス以降、ややピリッとした緊張感が生まれていると感じられなくもない。

 これで聖域襲撃後各グループの作戦行動は終わったわけだ。次回から大きく話が展開するのか。果たして――。 

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