「この世には、触れてはいけない物体がある。邪悪な呪いを封じ込めているからだ――」
井口昇監督が手がける紙芝居アニメ『世界の闇図鑑』(テレビ東京ほか)第9話は、斉藤工のそんなナレーションで始まる。さっそく物語を紹介しよう。
1977年春。建築士のダニエル夫妻がこの屋敷に引っ越してきた。
夫「おや、この箱はなんだろう。前の住人が置いていったのかな」
妻「あら、何か音が聞こえてくるわ」
箱からはオルゴールの音が聞こえていた。夫婦が箱に触れると、音が徐々に高まっていった。
そして2カ月もしないうちに、夫妻は忍び込んだ強盗に刺殺された。
それから3年後の1980年、弁護士のスコット夫妻が不動産屋とともにやってきた。箱に気づく夫。
夫「この家に決めた! こんな骨董品が残っているのがいいよ!」
妻「そうね」
近隣住人の証言によると、オルゴールの音は毎日聞こえていたという。そしてある日、家から銃声が鳴り響いた!
いざこざが原因で夫が妻を射殺し、自殺したのだった。
この辺りでおそらく視聴者全員が気付いたと思われるが、今回は「紙芝居なのに背景(家の一室)が1パターンのみで変わらない」「動いているのは人物だけ」という趣向が凝らされている。絵面としては「部屋に置かれた固定カメラの長回し」そのもの。ある家で次々に起こる惨劇、という物語を伝えるのには最適の手法というわけだ。お見事!
そして背景と同じくずーっと変わらないのが、画面手前に置かれた黒い箱。オルゴールの音がするがオルゴールではないらしく、惨劇を引き起こす何かが潜んでいるらしいが……内容紹介に戻ろう。
1983年、ジョン夫妻と一人娘のカレンが引っ越してきた。
カレン「この箱、面白いよ、オルゴールの音と人の声が聞こえる!」
その数日後、カレンはおかしくなった。暴れ回って奇妙な声でわめき、顔も醜く歪んでいる。
両親に呼ばれた霊能師は、彼女を見るなりこう言った。
霊能師「娘さんは邪悪な存在に取り憑かれています。助かるには箱を燃やすしかない!」
箱を燃やそうとする霊能師。だが風もないのに服に火が燃え移り、彼はあっという間に焼死した。無残な死を遂げた霊能師を前に、カレンは別人のような声で囁く。
カレン「パパもママもいらっしゃい、死の世界に……!」
カレンの口からエクトプラズムが溢れ出た。エクトプラズムに触れた両親は魂を奪われてしまった。
紙芝居で「定点観測」を表現! ある家で続く惨劇の記録!『世界の闇図鑑』第9話「不幸を呼ぶ呪いの箱」レビューのページです。おたぽるは、アニメ、作品レビュー、井口昇、JUP-ON STUDIO、17年4月期アニメ、世界の闇図鑑、本田淳の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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