星新一のショートショート風味でお届けするSFホラー! 『世界の闇図鑑』第5話「機械人がやってくる」

星新一のショートショート風味でお届けするSFホラー! 『世界の闇図鑑』第5話「機械人がやってくる」の画像1アニメ『世界の闇図鑑』公式サイトより

 井口昇監督の手がける紙芝居アニメ『世界の闇図鑑』(テレビ東京ほか)。第5話はこれまでの怪奇オカルト趣味とは丸っきりテイストの異なるSFホラー回だった。その内容とは……。

 街中のとあるレストランに入った“私”は苛立っていた。店員が注文を取りに来ないのだ。自分だけかと思ったらそうでもなく、どのテーブルにも料理は出されていない。周りの客は当然のような顔でじっとしている。
 我慢も限界に達したところで、別の客が怒り出した。「早く注文を取れよ!」

 平然とやって来た店員の顔を、客は思い切り殴りつけた。すると殴られた店員の皮膚が剥がれ、機械の顔が剥きだしになった。店員は人間ではなかったのだ。
 恐れおののく客、そして私。店員たちも大多数の客も様子がおかしい。こいつらは人間の目つきをしていない。私は慌ててレストランを逃げ出した。

 家族のことが気になった私は家に帰ろうと急いだが。地下鉄の駅はたくさんの人でパニックになっていた。車両はすでに奴ら――機械人たちに占拠されていた。

 人々に襲い掛かる機械人たち。私は逃げ延びた人とともに奴らと戦いながら、半年後(!)、自宅に到着した、まさにその時、妻と娘は奴らに襲われていた!
 手に入れた銃で私は奴らを退治した。その後、私は人間側のリーダーとなって奴らと戦い続けた――

 私のような機械人が作った監獄に、人間どもを捕えるために。

 いささか回りくどいやり方だが、人間を騙すために人間と同じ目線になる必要があったのだ。こうして私たちは人類を支配するようになった。

「あなた、何をやってるの?」

 妻に呼びかけられ、私はVRのゴーグルを外した。人間の歴史を観賞していたのだ、と説明すると、

「それってはるか大昔の話よね? 人間なんてもう一匹もいないもの」
 
 機械人の妻が言い、機械人の私はうなずいた――おしまい
 
 
「機械VS人類」のベタな侵略SFホラー! 終盤のひっくり返し方が星新一のショートショートみたい! 21世紀にこうした作品が見られるのは懐かしいを通り越して逆に新鮮である。

 イラストは加藤礼次郎。特撮・ミリタリー方面での仕事に定評がある、その筋では有名なマンガ家である。井口監督の人脈あるいは趣味で抜擢されたのはほぼ確定だろうが、「目の部分だけメカメカしい」という機械人のデザインはシンプルながら味わい深い。

 オカルト・UMA路線ばかりかと思いきやSFで攻めてきた第5話。毎回意表を突いた展開で感心しきりである。果たして次回はどんなアプローチでどう唸らせてくれるのだろうか?  
(文/JUP-ON STUDIO) 

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