【アニメレビュー】オリジナル展開で少しだけ救われた、切なく悲しい『鬼平』第七話「瓶割り小僧」

1702_onihei07.jpgテレビ東京「あにてれ」、『鬼平』公式サイトより

 ちょっとサービスシーンもありつつ、笑わせてくれた第五、六話とは打って変わって、「現代と変わらんな」と胸が打たれる切ないお話が展開されたTVアニメ『鬼平』(テレビ東京ほか)。切ないことは切ないが、楽しめなかったのかといわれると、もちろん今回も楽しめたので、今週も張り切って第七話「瓶割り小僧」を紹介してみたい。

 悪名高い盗賊「蝮の新兵衛」の一味と思われる石川五兵衛を捕らえたものの、頭も口もよく回る五兵衛を相手に取り調べは難航。仕事のできる同心・小柳や、長谷川平蔵の右腕的存在の与力・佐嶋まで言いくるめられてしまうほど。興味を持った平蔵は、五兵衛の顔を覗き見る。するとその顔には見覚えがあった……。

 アニメ公式サイトなどでは今話のあらすじをこんな感じで説明しているが、物語は平蔵の夕餉の一コマを描いたアバンからスタート。上手そうな鮎が登場、今週もアバンから飯テロかよと思わせておきながら、平蔵が養っているお順が両親に構ってもらいたくてついうっかりお膳を蹴飛ばしてしまう。

 普段は義理の娘・お順に甘々の平蔵だが飯に関してだけは厳しい。思わず本気で怒鳴りつけてしまい、以後しばらくお順の機嫌が戻ることはなかった、というのが物語の導入部。何てことはないエピソードに見えるのだが、これがまたうまいこと、平蔵が池波正太郎の他の江戸もの小説の主人公たちと同様に食べることが大好きなこと、養子なのに親子関係が良好であることを短い時間の中で説明しつつ、物語後半に向けての伏線ともなっている。

 さて、物語は平蔵が「本所の鬼鉄」と呼ばれ、近所で暴れまわっていたころの回想へ。その頃からよく回る頭と口を持っており、大人も簡単に言い負かすほどであったが、家では母親の新しい男=クズな義理の父親からひどい虐待を受けていた五兵衛こと音松。平蔵は父親にぶん殴られているところを助け、「何かあればすぐ役宅に来い」と声をかける。

 実の父親を亡くしていた音松は平蔵を父のようにも兄のようにも感じるのであったが、平蔵が役目(仕事)で京都へ出かけている間、父親の虐待はエスカレート。母親にまで暴力を振るわれることに耐えかねた音松は、弾みで義父を刺殺してしまう。ところがその母親からは「お前なんか産まなきゃよかったよ!」と叫ばれてしまう。失意の彼は「鬼平のせいだ」と恨みに思いながら、江戸の町を飛び出すのだった。

鬼平犯科帳 瓶割り小僧

鬼平犯科帳 瓶割り小僧

さいとうたかをマンガも面白いです

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