【アニメレビュー】鬼平の器のデカさと粋な振る舞いに痺れる憧れるッ! アニメ『鬼平』第六話「盗法秘伝」

1702_onihei06.jpg「トムス・エンタテインメント」YouTube 公式チャンネルより

 面白いことは面白いが、一~四話目まではシリアスで、後味がもの悲しいエピソードが続いたTVアニメ『鬼平』(テレビ東京ほか)。だが、お笑い&ちょっとセクシーなエピソードで笑わせてくれた先週の第五話「谷中・いろは茶屋」に続き、今週に放送された「盗法秘伝」も、鑑賞後に明るく前向きな気持ちになれるエピソードとなった。

 木村忠吾をおともに、京への向かっている長谷川平蔵。相変わらず女性に弱い忠吾をうまいこと撒き、のんびりと一人旅を楽しむ平蔵は、とある老人と道連れに。平蔵の人柄や剣術の腕前を見込んだ老人は伊砂の善八と名乗り、鬼平を相手に“盗み”の相談を持ちかけるのだが……。

 ちなみに善八役を演じたのは高木渉さん。盗みの技にプライドを持つ職人肌の盗人、でもあくどく稼ぐ相手からしか盗まず、人殺し・女犯は決して行わず、そして虐げられている奉公人(他人の家に召し使われている人)には優しく、基本的にはお人よしという善八に、非常にピッタリな声・演技であった。

 まぁ、登場当初は善悪定かではないというキャラクターだったはずなのに、「あ、高木さんだ!」と気づいた時点で、善八が悪いやつではないんだろうなと、少し声優さんに詳しい人間であれば予想がついてしまうのはデメリットかもしれないが。

 物語は恒例の飯テロ(今週は峠の団子屋の団子のみ!)、オッサン&老人の入浴シーン、うさ忠がとんでもなく巨大な女性の客引きに捕まるなどという、需要があるんだかないんだかよくわからないサービスシーンを挟みつつ、善八の依頼を平蔵はあっさりと快諾。2人して、役人とつながることであくどくガメつく、そして非道に利益を重ねる造り酒屋「升屋ますや」へ“盗み”に入ることに。

 ベテラン盗人と、盗人を取り締まる役人たちのボスという組み合わせが実に面白い。江戸で仕事をしない理由を尋ねた平蔵に、善八が「(江戸には)鬼平ってうるせえのがいる」と応えるシーンでは、「目の前!目の前ですよ!その鬼平!」「知らないって怖いなwww」とSNS上で楽しそうに突っ込む声が多数上がっていた。

 見事盗みを成功させた2人だが、宿に役人たちが押しかけてきたため、結局は平蔵の正体が善八にバレてしまう。役人たちを退けた平蔵に、観念して “お縄”を頂戴しようと両手を差し出す善八に、平蔵は「達者でおれよ」「だが今度会うたら運の尽きと思えよ」、そして「今日の俺は木村平蔵だ」と、とっさに名乗った偽名を言い放ち、粋に見逃すのだった……。

 善八が「人を殺めぬこと、女を手込めにせぬこと、盗まれて難儀をする者へは手を出さぬこと」という盗みの三か条を守る盗人であったこと、江戸から離れた平蔵の管轄外であったこと――これらの事情をひっくるめてみても、清濁併せ呑む平蔵の器の大きさが表現された、実に大人っぽい展開であった。

 こうでなければ、足を洗った元盗人のおまさや粂八を配下として起用するなんてこともできないだろうし、たとえ盗人とはいえ自分の信条に則った働きをするプロに関するリスペクトみたいなものを平蔵は感じたのだろう。痺れるし、実に後味がそう快な一話であった。

 付け加えて触れておきたいが、今回も殺陣シーンは高クオリティだったが、狭い夜道を善八&平蔵が駆けていくシーンも実にスピーディーで躍動感があったこと。中盤を迎えて、総集編放送=「万策尽きてしまったのかな?」と思える作品が出てくる中で、このクオリティーを保っているのは本当にすごい。

 2話続けて、ホッコリできるエピソードとなったが、次回・第七話「瓶割り小僧」は原作どおりなら、かなり切ないエピソードになるはず。気を引き締めて鑑賞したい。

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