【アニメレビュー】オリジナル展開で少しだけ救われた、切なく悲しい『鬼平』第七話「瓶割り小僧」

 現代でもニュースなどで耳にするような展開が実に辛いが、さらにここから一捻り。お調べ中に、偶然にもお順の姿を見かけた五兵衛こと音松。おさな子の姿を見て改心した、一味のことを白状するからと、再びお順と遠目からでも会うことを要求する。まんまとお順を引き出した彼は、「お前は娘ではない! 盗賊の子だ!」と叫ぶ。

 平蔵を逆恨みする五兵衛こと音松の復讐にさらされたお順は、ショックのあまり姿を消してしまう。同心・密偵総動員でのお順捜索の最中、平蔵は何かに思い当たる。それは彼がお順を怒鳴りつけてしまったこと=鮎。お順は鮎を捕まえようと河に飛び込んでいたのだ。間一髪、平蔵に救われたお順。最後の復讐も実らず、平蔵の言葉に涙した五兵衛こと音松は、素直に「蝮の新兵衛」一味のことを白状。最後に一度だけ平蔵に抱きしめられ、笑顔で磔の刑を受け入れる。

 平蔵の「誰かがもう少しだけお前を見てやっていれば」というセリフが、なんとも悲しいエピソードとなった「瓶割り小僧」。原作小説では、このエピソードにお順は大して絡んでおらず、お順の出生と五兵衛こと音松をうまく絡めたのはアニメ制作スタッフの仕事と思われる。冒頭のアバンも含めて非常に上手い脚本だったと思う。

 また、本来は救いのないお話のままで終わるところを、お順を絡ませたことで、最後は父娘が仲直り、相変わらず娘には甘い平蔵であった、というオチがついたことで、少しだけ救われるように調整していたのも良かった。月曜深夜に、救いのないまま終わってしまったら精神的ダメージも大きすぎる。

 TVドラマでは45分程度で描かれてきた『鬼平犯科帳』の物語を、TVアニメとして20分ちょっとにまとめるのはかなり難しい作業だろう。詰め込みすぎ、あるいははしょったなと感じる原作ファンは多いだろうし、実際この「瓶割り小僧」でもちょいちょい変更されている部分はあるのだが、それでも見応えのあるドラマであった。

 その分殺陣アクションは短めだったが、お順を助けるために川に飛び込んだ平蔵は格好良かった。何気にこういったアクションも、飯テロ作画も高クオリティを保っている『鬼平』。次週の「大川の隠居」は後味の良い愉快なお話だったはずなので、ギャップを楽しんでみたい。

鬼平犯科帳 瓶割り小僧

鬼平犯科帳 瓶割り小僧

さいとうたかをマンガも面白いです

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