『じけんじゃけん!』(安田剛助) 広島弁女子の可愛さに悶絶必至! 

 この可愛さはなんなんだ……!

 安田剛助『じけんじゃけん!』(白泉社)は、ページをめくるごとに、悶絶が止まらなくなる日常ミステリ作品です。

 昔住んでいた広島に戻ってきた転入生の戸入。そんな彼が一目惚れしたのは、校内一の美女である白銀百合子先輩です。長身でセーラー服で黒髪の完璧な美少女。あまりにも美しすぎて髪の毛には花が咲いています(髪飾りか?)。

 そんな彼女が愛して止まないのはミステリ。好きが高じて、ミステリ研究会を立ち上げています。そんな美少女がいる部活だから、ライバルはいっぱい……ではありません。入部希望者に求めるミステリの素養がハイレベル過ぎて、入部希望者は次々と拒否されているのです。そうした中で、なぜかミステリの知識が、お眼鏡にかなった戸入は、唯一の部員です。

 憧れの先輩と、2人きりで過ごす部活。だが、部活動はけっこう大変です。部活に使っている教室に入ると「他殺体」と紙を貼った先輩が机の上に寝転がっていたりするのです。

 しかも、真夏だというのに窓を閉め切った状態で……。そこから、この密室トリックを解明してみるのが部活動だったりします。

 いやいや、ミステリ同好会というから、お互いに好きなミステリ小説の話でもしておけばよいのかと思えば、まったくそんなことはありません。時には、クラスの女の子が、なぜメガネを外していたのかという謎を延々と話し合ったりします。

 ちょっと奇妙だけど、先輩と一緒だから楽しい。そんな部活も次第にメンバーが増えていきます。戸入の幼馴染みのボーイッシュな少女・四ッ名が加わり、先輩の遠い親戚でハーフの美少女・アイリスも加わります。

 そんなメンバーを揃えて、写実的なタッチで描かれていく物語。あくまでジャンルは日常系です。系譜としては『けいおん!』(芳文社)にも近い気がする、大したことも起こらないダラダラとした日々だけが続きます。ミステリ同好会を舞台にしていることで、少し毛色の変わった感じがありますが、本質はみんな大好きな日常系にほかなりません。

 そんな日常ですが、悶絶してしまうのは、登場する女の子がみんな広島弁を話しているからです。広島弁というものは、中国地方の一部を除いては、ヤクザ映画くらいでしか接したことのないでしょう。ところが、この広島弁というのは、方言女子の中でもかなりレベルの高い部類に入ります。なにしろ、可愛い女の子が「~じゃけん」というのですよ?

 この泥臭い語尾が、とにかくそそる! しかも、この作品では凜とした先輩が「~じゃけん」というのだから、ギャップ萌えでさらに興奮させてくれるのです。

 オビには「こんな先輩ほしかった」という一文が書いてありますが、これは編集者の心の叫びのような気がします。やはり、10代の恋愛において先輩と付き合うのは至上。それが、方言女子だと、さらに極上! 心ゆくまで楽しみたい日常作品です。
(文=大居候)

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