『天賀井さんは案外ふつう』不思議な関係の“普通じゃない”2人。これでも普通なの!?

 ミステリ作家でマンガ原作者である、城平京氏の最新作『天賀井さんは案外ふつう』(作画:水野英多/スクウェア・エニックス)は、一見したところ全然「ふつう」ではない。主人公の天賀井悠子は転校初日の挨拶で、自分が転校することになった理由を「実家で兄が座敷牢に入っているからです」と正直に述べたりして、教室をどよめかせる……どころかドン引きさせてしまう。お弁当を一緒に食べる友達も作れず、屋上へ続く階段で「ぼっち飯」するハメになった天賀井さん。ところがその天賀井さんの耳へ届く、クラスメイトの真木正輝くんと副担任の女教師・西陣夕陽先生による痴話ゲンカ。ええ〜!? この二人、教師と生徒でつき合ってたの?!

 そんな出会いを経つつ、クラスでの天賀井さんの孤立を心配する西陣先生は、真木くんに天賀井さんを部活に誘うように勧める。その部活とは、天賀井さんが探している二匹の化物、「バランバラン」と「タタイタタイ」に関する研究や保存を行うというもので、入部できる確率は百分の一という、「選ばれた人間」しか入れない。天賀井さんはそのラッキーを難なくクリアし、晴れて「郷土史維持管理部」に入部することに。だが、ある日部室で真木くんと二人きりになった時、突然真木くんは天賀井さんに襲いかかった!? しかも木槌を持って──!

 実は真木くん自身も「いわくつき」の身。そして「正体」を現した天賀井さんに、何故か満足する真木くん。天賀井さんもふつうじゃないけど、真木くんも案外ふつうじゃない。

 そんな2人は、天賀井さんのお兄さんに会いに行くことに。実家の座敷牢に閉じ込められているという天賀井さんのお兄さんを見ても特に驚く様子を見せない真木くん。うわー、なんていうかやっぱりみんなふつうじゃないねっ! 10年前に起きた撲殺事件に関わっているという天賀井さんのお兄さんと真木くんは、2人して肝心の部分をまったく覚えていないため、実際に会えば何らかの進展があるかと思えたのに、そこは空振りでした。2人は被害者と加害者なのか、それとも共犯者なのかもわからないまま。

「座敷牢」とか「撲殺事件」、「化物」や「遺物」などという、穏やかでない謎めいたキーワードが頻出する『天賀井さんは案外ふつう』だが、実はそれ自体は、それほど不思議ではないらしい。そしてこのマンガはあくまでコメディだと城平京氏はあとがきで触れている。そう、このマンガはあくまで「案外ふつう」なのだ。何事にも動じない真木くんに、ツッコミどころ満載の天賀井さん。天賀井さんのご家庭もなんだか不思議ちゃん系で面白い。1巻では主におおまかな設定が紹介されているので、次巻以降は正統(?)な「日常系伝奇コメディ」を繰り広げてくれることだろう。コンパクトにまとまる予定のマンガらしいので、ちょっと最後まで付き合ってみると面白い体験ができるのではないでしょうかね?
(文/桜木尚矢)

虚構推理(1) (月刊少年マガジンコミックス)

虚構推理(1) (月刊少年マガジンコミックス)

こちらは推理に妖怪、都市伝説なんかを突っ込んだ感じ

『天賀井さんは案外ふつう』不思議な関係の“普通じゃない”2人。これでも普通なの!?のページです。おたぽるは、漫画マンガ&ラノベ作品レビューの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!