マンガはまだまだ売れる!? 出版不況の荒波を迎え撃つカリスマ書店員“仕掛け番長”に訊く「マンガの売り方」

1604_kurimata_01.jpg“仕掛け番長”こと、栗俣力也氏。

 紙媒体・WEBサイトと毎月把握し切れないほどの作品数が発表され続けている“マンガ”。それと反比例するかのように、マンガ業界全体の売り上げは減少の一途をたどっている。その影響を直接目に見える形で受けてしまうのは、何と言っても街の“書店”だ。相次ぐ閉店のニュースや“本離れ”が加速する厳しい現実と常に向き合わざるを得ない書店業界で、逆境の中、1人“気を吐く”書店員と出会った。ドーンと大きな身体、人懐っこい笑顔、その風貌から人は彼を“番長”と呼ぶ……。

 その書店員とは、マンガや文庫本の“仕掛け販売”で多くの成功実績を上げ、熱心な読者のみならず出版業界からも圧倒的な支持を得るカリスマ書店員“仕掛け番長”こと、栗俣力也氏。彼は、『激流』(著:柴田よしき/徳間書店)や『世界の終わり、あるいは始まり』(著:歌野晶午/角川書店)など、店頭で売れ行きが振るわなかった作品を大々的にピックアップした売り場展開により、それらの作品を1書店から大ヒット作へと成長させ、一躍時の人となった人物。以降、マンガ家のサインを最新巻ではなく1巻目に入れてもらった“コミック1巻目サイン本フェア”や、絶版になった隠れた名作小説を発掘・表紙や帯を自らデザインし現代風にリメイク復刊させた“復刊文庫”企画などで話題を集め、旧来の販売実績を大きく塗り替え続ける書店業界の風雲児である。

1604_kurimata_02.jpg“仕掛け番長”栗俣氏が初めて全面プロデュースしたコミックコーナーがオープン。

 この春4月に、大幅なリニューアルが行われたTSUTAYA 三軒茶屋店では、栗俣氏が初めて“売り場の全面プロデュース”に挑戦したコミックコーナーを展開中だ。出版不況と言われる中、本の販売企画からさらに1歩踏み込み、売り場自体を変えることで栗俣氏が“今”目指す書店の形、“紙の本”の行方、“今”キているオススメマンガ、そして“番長の挑戦”について訊いた。

■「マンガ業界の皆で作り上げていく場所、その中心には書店員がいてもいいんじゃないかって」

――TSUTAYA 三軒茶屋店が開店20周年を機にリニューアルされました。中でも栗俣さんがプロデュースされたコミックコーナーは今回の目玉として大幅に拡充されましたが、どういった経緯があったのでしょう?

栗俣力也(以下、栗俣) 元々、三軒茶屋店はコミックの回転率が良かったこと、僕自身もコミックがすごく得意な書店員であったというところ、あとは“仕掛け番長”という名前が異常なくらいに書店業界内で有名になっていたので、経緯といえばそのあたりになるかと思います。コミックのフロアが大きくなったことも僕がプランニングしたからというところが大きいですね。

――ご自身にとってもコミック売り場の初プロデュースということで、“TSUTAYAの仕掛け番長・栗俣”を大きく打ち出した改装となりました。出版業界全体としてはマンガの売り上げも年々下がってきている中で、今回の売り場プロデュースではどのようなコンセプトを?

栗俣 いわゆる“参加型”というのが現在の主流になっている中で、マンガ業界全体で盛り上がれる“プラットフォーム”みたいなものを作りたいなっていうのが最初にあった構想です。

――マンガ業界全体で盛り上がれる“プラットフォーム”というのは。

栗俣 業界の人たちが皆で作り上げていくリアル店舗があってもいいのではと考えて。そして、その中心にはやっぱり書店員がいてもいいんじゃないかなっていうのが最初の構想です。それで、たまたま作家さんや編集さんとか業界の方たちに知り合いが多かったので、そういう人たちにちょっと話を持ちかけて「こういうことをやりたいんだけどどうでしょうか?」みたいな形で作っていったんです。

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