マンガライター・小林聖が行く! ウェブ×マンガの現場 第2回

有料マンガ雑誌「Dモーニング」の実情を編集長らが激白!「人件費を抜けば回収できてます(笑)」

――出版社が運営するウェブ媒体、Kindleをはじめとした電子書籍店舗に、スマホ用アプリ……。インターネットの普及とともに、マンガのありよう、マンガをめぐる環境も変わってきている。紙で培われたマンガ文化が、ウェブと出会うことでどう変わっていくのか? マンガライターの小林聖が、ウェブマンガの現場にいる人々にインタビューを行いながら、ウェブとマンガの未来を探っていく。

【第2回】「週刊Dモーニング」(講談社)

 日本のインターネットコンテンツは、無料文化とともに成長してきたといっても過言でない。功罪ともにあるところだが、「ネットのコンテンツはタダ」という感覚を多くの人が持っており、マンガの世界でも無料のマンガサイトが現在の主流だ。

 だが、そんな流れに反するように、スマホ向け有料マンガ雑誌という新たなチャレンジが始まったのが2013年だった。その皮切りが、講談社の「Dモーニング」。月額500円で紙の「モーニング」とほぼ同じ内容を、紙と同日配信するという、マンガ業界初の試みだ。

「Dモーニング」はどのように船出し、リリースから約半年が経過した今、どうなっているのか? 「モーニング」編集長の島田英二郎さんと、「Dモーニング」を支える講談社デジタルビジネス局デジタル第一営業部・第二営業部部長の吉村浩さん、同じくデジタル第一営業部の大竹弘樹さんにお話を聞いた。

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――まずは基本的なところからですが、そもそもなぜ今、有料のモデルをやろうと思ったんでしょう? 講談社さんでも1カ月遅れで「モーニング・ツー」を無料でウェブ公開したりしたように、ウェブ系マンガの流れは無料に傾いていますよね。

「モーニング」編集長・島田英二郎(以下、島田) 無料の流れはあるといえばあるのかもしれないですけど、あまりそういうのは意識してませんでしたね。発想としてはすごく単純で、紙の「モーニング」を、できるだけたくさんの人に読んでほしい。昔は電車の中で新聞なり雑誌なり読んでいる人が多かったけど、今は多くの人がスマホを見ている。じゃあ、そのステージに乗ろうっていう、すごくシンプルな発想なので。だから、無料というのは最初から頭に全然なかった感じですね。

――要は販路を増やそう、と。

島田 そうです。チャンネルを増やすというだけの話。「モーニング・ツー」は無料でやりましたが、これも販路を広げたいってところから始まっているんです。(「モーニング・ツー」は)増刊なので、もともとの部数が極度に少ないですからね。そもそも十分に全国流通させられない部数なんです。紙の雑誌を全国的に流通させるためには、20万部以上……もしかしたら、もっと部数がいるんです。本誌はともかく、増刊ではなかなか全国流通させられない。

――今、20万部ってなかなか難しいですよね。

島田 なので、「モーニング・ツー」も販路を広げて、見てもらえる人に見てもらおうっていう形で出しただけで。課金のシステムなんか考えてなかったから無料にしましたけど、発想としては(「Dモーニング」も)似てる。紙か電子かという選択肢を増やすことでたくさんの人に見てほしい、見たいと思っている潜在的読者にちゃんとあまねく届けたい、というところから始まっています。

鬼灯の冷徹(1) (モーニングKC)

鬼灯の冷徹(1) (モーニングKC)

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