グーグルが次に放つ“沈思黙考タイプ”の人工知能「DNC」とは?

■経験を積んでどんどん賢くなるAI

 ではいったい、このDNCは現状でどんなことができるのか?

 ソフトバンクのペッパー(Pepper)など、人間と会話できるロボットの普及が着実に進んでいるが、これらのロボットは会話するといっても、あらかじめプログラムされた“会話例文集”に則って返事をしながら言葉のキャッチボールをしている。したがって“会話例文集”のデータにない質問には答えられなかったり、そのような場合のために用意された言葉を濁すフレーズで切り返したりするだろう。しかし、このDNCは学習した分野においては、この“会話例文集”にない質問にも答えられるのだ。

家計図を理解し質問に答えるDNC「DeepMind」より

 例えば、ある家系図を学習したDNCは「Aさんの母方のお祖父さんは誰?」という質問に、自分でいったん家系図を辿って確認してから返答することができるのだ。つまり、会話例文集によるパターン的な返答ではなく、自分で一度ちゃんと考えて答えを見つけてから返事をするのである。そして、この一連のプロセスを学習して新たな経験として記憶するため、次に同じ質問をされた場合には素早く返事をすることができる。

 現在、スマホなどで電車や地下鉄の乗り換え案内を手軽に表示できるアプリがあるが、もしもネット環境がなかった場合でもこのDNCであれば、いったん地下鉄の路線図を学習させることで、独自の乗り換え案内を提示することができる。現状でこのDNCはロンドンの地下鉄路線図を認識しているという。しようと思えば、ニューヨークの地下鉄路線図にも応用できるわけだ。つまり、経験を積んでどんどん賢くなっていくのだ。

 現状では家系図や地下鉄路線図という素朴な用途でその有用性が実証されているが、自ら考えることができ、しかも過去の経験を活かして未知の事柄に対する判断ができることは大きな可能性を秘めている。今後幅広い分野を徐々に学習していけば、将来はまさに高度な政治的判断や経営的判断、法的判断までもが下せるようになるのかもしれない。こうした未来を、人間が解放された素晴らしいユートピアと考えるのか、人間が人工知能に支配されたディストピアととらえるのか、まさに各人の人生観や世界観の問題になるということかもしれない。
(文/仲田しんじ)

【参考】
・Science Alert
http://www.sciencealert.com/the-deepmind-ai-can-now-learn-how-to-use-its-own-memory
・DeepMind
https://deepmind.com/blog/differentiable-neural-computers/

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