【実写映画レビュー】深刻な観念劇とド派手なドラゴンボールバトルが乱暴に同居!? 『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』

1603_vs.jpg映画 『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』公式サイトより。

 スーパーマンの肉弾空中戦VFXがあまりに見事すぎて、「えっ……と、実写版『ドラゴンボール』はこれでいいんじゃね?」などと一部で絶賛された『マン・オブ・スティール』(13)の続編。それが本作『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』だ。要は「『マン・オブ・スティール』の時、スーパーマンのせいで都心のビルが倒壊して犠牲者が出たから、バットマンが怒る」という話である。

 完全に前作ありきの話なので、これ1本だけ観ても、世界観は40パーセントくらいしか理解できない。本家『ドラゴンボール』でいうなら、サイヤ人編を未読の状態でフリーザ編を読むようなもの。「サイヤ人って何?」レベルの一見さんはお断り映画なのである。

 タイトルで「vs」などとバトル感を謳っている以上、前作にも増してアクションの血中ドラゴンボール濃度は高いが、それを文字でくどくど説明するのは野暮というもの。ゆえにここでは、スーパーマンとバットマン、それぞれのキャラクター造形に注目したい。ふたりのパーソナリティには、現代アメリカ人の代表的なふたつの精神性が、巧みに振り分けられている。

 スーパーマンは、能天気な理想主義者としてのアメリカ人である。
 彼はクリプトン星で生まれた異星人だが、星で内戦が起こったため、赤ちゃんの時に両親によって地球へと送られた。見方を変えれば、地球という新天地に希望を託してやってきた移民、もしくは難民ということになる。

 地球でのスーパーマンことクラーク・ケントは当初、異星人として奇異の目で見られていた。が、身を挺して合衆国市民を守る態度を示したことで、アメリカ社会に受け入れられる。前作『マン・オブ・スティール』が示していたのは、「アメリカ人でなくても、アメリカに忠誠を誓えばアメリカ人」という、アメリカが掲げる美しい理念だった。

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