スマホの急速な普及と共に全世界でブームのモバイルゲームに加え、来年からは本格的なVRゲームの数々も登場し、何やらバラ色の未来が広がっているかに見えるゲーム業界だが、実は地殻変動の真っ只中にあり先行きの見通しは不透明であるというのだが……。
■“AAAタイトル”が総売り上げ本数を減らしている!?
「BBC」の記事によれば、イギリスのコンピュータゲーム産業は現在、これまでに体験したことのない新たな次元の苦境に直面しているという。一体どういうことなのだろうか。
市場調査会社「Gfk」の最新の資料によれば、イギリスのゲーム専門ショップの総売上げは残念ながら前年比マイナス13.5%と、ここしばらく続いている縮小傾向に歯止めがかかっていない状況ということだ。ちなみに今やゲーム専用機向けソフトの60%はオンラインでダウンロード購入されているという。
ということはハードの不振が原因なのかと思いきや、イギリス国内でのPS4とXbox Oneのリリース後2年間の販売台数は計370万台で、前モデル(PS3、Xbox 360)の発売後2年間の売り上げである計240万台を大きく上回っている。予想に反し、実は専用機のハードはよく売れているのだ。しかしながらご他聞に漏れずハードの利益率は極めて低く、いくら売れてもメーカーにはあまり収益をもたらさない。やはりソフトがこれまでのようには売れていないのだ。
ここには複雑な事情が横たわっており、ゲーム専用機のコアとなるラインナップである『Call of Duty』や『アサシンクリード』、『Fallout』などの“AAAタイトル”のシリーズはいずれも極めて満足度の高い優れたゲームであるため、各1本あたりの総プレイ時間が大幅に延びていることが考えられるという。つまり年間に購入するゲームの本数が、コアなゲームユーザーであったとしてもかなり減ってきているのだ。ユーザーを没頭させる優れた“大作”ゲームが、皮肉にもゲーム専用機ソフトの売り上げの低迷の要因のひとつになっていると指摘されたのである。また開発費がそれなりにかかっている大作ゲームだけに比較的高価であることもまた、総売り上げ本数を下げている要因と言われているようだ。
PS4やXbox Oneは昨年くらいまで、話題の新作ソフトとハードをバンドルさせた数量限定の同梱版をいくつかリリースしているが、同梱版を購入したユーザーの決して少なくない数が、未だに他のソフトをプレイしていないという実態も浮き彫りになっている。
しかしながらクリエイターの奮闘とファンの支持でここまで見事に育まれてきたAAAタイトルのクオリティを落としていいはずがない。仮にそんなことをすればファンは一挙に離れていくだろう。そこで鍵を握るのはやはりスマホやタブレットで楽しむモバイルゲームへの展開である。
世界的にモバイルゲーム市場の拡大が目覚しいが、イギリスのゲーム情報メディア「MCV」によれば、英国内でもモバイルゲームを含めたゲームの市場規模は前年比13%増を記録しているということだ。ゲーム全体で見ればまだまだ明るい見通しが立ち、イギリスのゲーム振興非営利組織「UKIE」代表のジョー・ツイスト氏もモバイルを含めたマルチプラットホーム化が今後のゲーム産業のキーであることを示唆している。しかしそれでもツイスト氏は、ゲーム業界にとって小売店での実物販売は、今後もゲームビジネスの要であることに変わりはないことを強調している。はたして2016年のゲーム業界はどんな動きを見せるのか注目だ。
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