『日之丸街宣女子』をめぐる大論争は集英社にまで飛び火! 渦中のマンガ家・高遠るい/富田安紀子 両者の主張を聞いた

 取材を申し込んだところ「たいして専門的なお話はできないと思いますが」とは言いながらも承諾の返事。どんな人物がやってくるだろうと思いつつ、待ち合わせ場所の都内某駅に向かうと、待っていたのはタンクトップ姿の精悍な青年であった。「東大卒」のイメージに反して、インテリよりもワイルドに近い印象の青年は、約3時間にわたって語り続けた。

「この問題は“表現の自由”ではなく、カルトによる洗脳の問題に近いでしょう。今どき、ネットに流布されているネトウヨ言説を信じちゃっている人というのは、思想信条というよりも詐欺に引っ掛かっている被害者だと思うんですよ。

 それが、“表現規制の問題”になっていた。『思想信条で作家をパージするべきではない』という意見を寄せてくれる人が何人かいました。でも、大企業がヤクザと付き合わないのと同じ次元の問題です。彼女が現役の在特会の活動家で、活動のコアにいる人物だということは疑う余地がありません。

 あれだけ差別扇動を継続的に行って刑事犯を出しているような団体と関わりの深い人間を、出版界におけるリーディングカンパニー【編註: 一定の業界で主導的・模範的地位にある企業】が使うのはうかつだよね、という話だったんですよ。

 竹書房や宝島社で描いている分には、俺は言いませんよ。でも『ジャンプ』の会社でしょ。だから集英社が『脇が甘いな』という失望が、最初のツイートなんです。ネットでは『大激怒』と書かれていますが、軽口を叩いたら、すごい弾圧を加えたみたいに思われているんです」

 高遠氏は、『日之丸街宣女子』に描かれているのは“思想”でもなんでもなく、“ちょっとヤバい人”の発言のようなもの。さらに、マンガ家や編集者で、集英社が“ヤバい人”の作品を掲載するミスを犯してしまったと思わない人はいないとも言う。

「安田浩一さんの本にも書かれていましたが、あれだけ出自のしっかりしたジャーナリストが取材にきているのに『お前は在日だろう。朝鮮総連の手先だろう』と詰め寄ってくる人がいるわけです。あれは脱洗脳の治療を受けるべきオウム真理教の信者に近いと思います。 

 富田さんの悩ましいところは、被害者と加害者のバランスで考えた時に加害者の度合いが強いことでしょう。マンガ家としてはキャリアもありますし、山野車輪【編註:『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)などで知られるマンガ家】と違って、まともなマンガを描けることが問題なんですよ。もちろん、富田さんが『騙されていた』と気づいて戻ってきたら、業界は歓迎してもいいと思いますけどね」

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