『日之丸街宣女子』をめぐる大論争は集英社にまで飛び火! 渦中のマンガ家・高遠るい/富田安紀子 両者の主張を聞いた

 今回の高遠氏の発言で気になったのは、彼の“覚悟”である。高遠氏は集英社で声優を題材にしたマンガ『ボイス坂』を執筆。自ら同作のライトノベル版も手がけた。一方の富田氏も集英社におけるキャリアが長い、実力のあるマンガ家である。そんな関係性の中で、「(富田氏の)他社の仕事が問題である」と噛みついたら、集英社から高遠氏のほうが「めんどくさい人」と思われて切り捨てられることへの恐れはなかったのか?

「それは、ちょっとあるんですよ。俺は仕事としては、集英社とはつかず離れずの関係です。何回かは描いてますけど、今はちょっとやっていません。でも(Twitterの発言は)、正直『集英社、ちょっとやっちまったなあ』程度の軽い気持ちでしたし……何もないと思いますよ。富田さんの担当編集が、彼女の活動を知った上で使ったのかどうか知らないけれど『これはアブない人だった』と思う案件なんですよ。集英社にとっても凡ミス。俺も、謝罪しろとも思っていないわけですから」

 淡々と過激な言葉を並べた高遠氏だが、あくまで“表現の自由”とは別のベクトルの問題なので『日之丸街宣女子』を読んでいないと話した。

 さて、ネットでは、高遠氏の作品『はぐれアイドル地獄変』も、“女性に対するヘイトスピーチ”という批判を受けてしまうのではないか? という批判も見られる。

「それをいうなら、『18禁マークがなくてエロのあるマンガを、全部なくしてくださいね』と言いたいです。そこまでいくと、もうイチャモンの域でしょう」

 あくまで「ネットでイタい人をヲチしている感覚」だという高遠氏は、富田氏の作品に対して、対抗言論として作品を描こうという意志もまったくないそう。

「マンガでそんなこと描いても面白くないですよ。マンガって誇張して描くものですから、味方を美しくして敵を醜くしちゃいます。それを言論戦でやるって、愚の骨頂じゃないですか。

 運動をやるつもりもありません。私は活動家ではなく一般人の立場から発言することに訴求力があると思うんです。だから言論や運動よりも、日本人の中にうっすらと差別意識があることを認めつつ『真っ黒なアイツらはカルト』ということを共通認識にしていくくらいでいいんじゃないですか。俺は言っちゃうけど、あとは皆さんご自由に、って感じです」

 3時間あまりの取材の中で、高遠氏の話は「ヘイト」と「反ヘイト」双方の参加者の服装の話にも及んだ。高遠氏は「ヘイト」側の参加者の服装を「根本敬に取り上げられそうな人々【筆者註:ダサイを超えてキモイこと、と解釈できる。わからない人は根本氏の『因果鉄道の旅』(幻冬舎)などを参照】」とした上で、それに対抗しようとした「反ヘイト」参加者の服装が“オラオラ系”になってしまったことに問題があると考えているようであった。そして、明日は富田氏に会うという筆者に「これを渡してください」と、自著『はぐれアイドル地獄変』の単行本を託したのであった。

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