『日之丸街宣女子』をめぐる大論争は集英社にまで飛び火! 渦中のマンガ家・高遠るい/富田安紀子 両者の主張を聞いた

 この一連の批判が大きく広がるきっかけとなったのが、マンガ家・高遠るい氏のツイートだ。高遠氏は、東京大学卒業の“インテリマンガ家”で、現在は「漫画ゴラクスペシャル」で、グラビアアイドルがAV出演をかけた100人組手を戦うことから始まるお色気作『はぐれアイドル地獄変』(共に日本文芸社)を連載中だ。

 高遠氏は前出の批判ツイートをリツイートした上で「漫画家だからこそRTしておく。マジかよグランドジャンプ。心底見損なったぜ集英社」と発言。さらに、ブログで自身の考える問題点を次のように記している。

彼女の主張内容は基本「ネットde真実」の典型であり、量産型ネトウヨのテンプレみたいな人ではあるのだが、漫画家というスキルを使って商業ベースでヘイトスピーチを展開している点で悪質性は高い、と私は考える


高遠るい氏のブログ「高遠るいの日記」より引用

 さらに、集英社という一大出版社の雑誌に掲載されていることが問題だという記述も。

富田氏が常習的なヘイトスピーカーであることは議論を待たない。ハッキリ言おう。こういう筋の人間でも大手出版社のまともな本で仕事ができる、という前例をひとつ作ってしまったことが、今回の問題点である。国家公安委員長が増木重夫と付き合いがあるだけで国際的には問題視されるのの、ミニチュア版である。

「ダメだよ、グランドジャンプ&集英社。おたくみたいなある程度模範的に振舞うべき立派な会社が、マイノリティーへの人権侵害に加担し続けている犯罪的な輩に仕事をやっちゃ、示しがつかないでしょ」


高遠るい氏のブログ「高遠るいの日記」より引用

 しかし“常習的なヘイトスピーカー”の作品を掲載すべきでないという主張は、新たな批判を呼び起こしている。「女性器にナイフ突っ込む漫画描いてた人だよね」「そんな高遠るい先生の書いてるのが空手で負けたら男に廻されるアイドル漫画『はぐれアイドル地獄篇』だから発言自体がブラックユーモアとしか思えない」など、高遠氏の表現に対する批判もみられるが、最も多くを占めているのは「高遠るいに賛同してるヤツは単なる表現規制賛美者だよな。二度と表現規制反対とか言わないでいただきたい」というツイートに示される主張。つまり、富田氏の“思想”を理由に、作品を描かせないような圧力をかけることの正当性だ。

 批判を激化させている「グランドジャンプ」掲載作品『国際霊柩送還 エンジェルフライト』は、『日之丸街宣女子』とはまったく毛色の違う娯楽作品である。それゆえ「高遠氏に富田安紀子氏の仕事を奪う権利はない」「作品自体の内容とは全く無関係に『自分と思想や立ち位置が違う』というだけの理由で作品発表・出版の機会を奪えというのは、それがかりそめにも漫画家という職業人がやって良いことなのでしょうか」といった“表現規制に反対する”立場からの新たな怒りが生まれているのである。

 どんなに人間性がクズであろうとも、作品が読者の支持を得るのであれば、なんら問題はないはずと、筆者は考えている。高遠氏の論法でいけば、『金田一少年の事件簿』(講談社)の作画・さとうふみや氏は「日本は核武装を」と主張する幸福実現党を擁する宗教法人・幸福の科学の信者だからアウト。はたまた、小説家の故・井上ひさし氏は家庭ではDV野郎だったのでダメ……といったような主張が正当化されてしまうのではないか。Twitterでも指摘されていたが、高遠氏の『はぐれアイドル地獄変』も「女性に対するヘイトスピーチ」となってしまいかねない。なぜ、高遠氏は今回の発言をするに至ったのか。

『日之丸街宣女子』をめぐる大論争は集英社にまで飛び火! 渦中のマンガ家・高遠るい/富田安紀子 両者の主張を聞いたのページです。おたぽるは、マンガ&ラノベ出版業界事情の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

PICK UP ギャラリー
写真new
写真
写真
写真
写真
写真

ギャラリー一覧

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!