元・夢追い人が綴る“俳優奮闘雑記” 第8回

唐沢寿明にならい勢いで丸坊主にして臨んだオーディション……その結末とは?

――“上京ドリーマー”だった元俳優が綴る、“舞台裏”で起こっていたあんな事やこんな事。

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 みなさん、こんにちは。SHINOBUです。

 4月、桜舞うこの季節、入学式や入社式で新しい門出となった人も多いのでしょう。俳優にとってはやはり、新しい作品への出演が決まった瞬間こそ、「春の訪れ」と言ってもいいのではないでしょうか。今回は、そんな「春の訪れ」についてのエピソードをご紹介します。

 ある舞台の終演後、私が楽屋でメイクを落としていると、共演者から「ちょっと会いたいって言ってる人がいるんだけど、来てくれる?」と呼ばれました。私はすぐに着替えて廊下に出て、その共演者に手招きされながら歩いていくと、そこには髭の生えた長髪の男性がいました。呼ばれたのは私を含め、3人の俳優たち。その男性はこう言いました。

「俺、監督やってるんだけど、今度撮影があるからもし良かったらオーディションに来てみない?」

 私は、「是非、受けさせて下さい」と答え、ほかの2人も乗り気でした。するとその監督は、「曹洞宗の紹介ビデオで坊主の役なんだけど」と言い、オーディションの日程を告げると去って行ったのです。

「この役、絶対に俺が獲る!」

 そう意気込んだ私に、坊主頭にすることへのためらいなどありませんでした。

 私は憧れの俳優・唐沢寿明さんが書いた『ふたり』という本の中で、彼が坊主役のオーディションを受ける時に坊主頭にして行った、というエピソードが紹介されていたことを思い出したのです。なので、私もツルツル頭にしていこうと思いました。早速美容室に行って「ツルツルの坊主にして下さい!」と告げ、頭を刈ってもらいました。

「これで今回のオーディションは自分で決まりだな!」

 そう思って家に帰ると、事務所の社長から電話があり、「あのね、坊主役と青年役の2種類があるんだけど……どっちにする?」とのこと。え? 青年役? 2種類?

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