『ミュータント・タートルズ』で、マイケル・ベイから受け継がれる“Bay-hem“を感じろ!

1502_turtules.jpg映画ミュータント・タートルズ公式サイトより。

 現在公開中の実写版『ミュータント・タートルズ』は、アメリカ公開時に大ヒット作となり、すでに続編の製作が決定している。

 元々『ミュータント・タートルズ』は、アメコミ作家のケヴィン・イーストマンとピーター・レアードの二人が始めたミラージュ・スタジオが半分冗談で出版したコミックスが発端だ。バーガーショップのナプキンの落書きに、X-メンから派生した「ニューミュータンツ」と盲目のヒーロー「デアデビル」のスパイスを効かせた、パロディ的なヒーローだった。原題『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ』が示す通り、主人公は4人(匹?)の10代のミュータントで忍者な亀。のろまな亀が忍術で素早く敵と戦うギャップが原因なのかはわからないが、このモノクロのコミックスは人気を呼んだ。レオナルド、ラファエロ、ミケランジェロ、ドナテロの4人のタートルズは、同じくミュータントで師匠のスプリンターから手ほどきを受けた忍術を使い、悪の秘密結社ザ・フットと戦いを繰り広げる。

 現在までにアニメは6作、テレビシリーズが1作、映画は3部作と、仇敵であるシュレッダーが倒された後を描いた『TMNT』の4作が作られている。そして2014年にタートルズ生誕30周年を記念して制作されたのが、『ハルマゲドン』や『トランスフォーマー』で有名なマイケル・ベイがプロデュースした絶賛公開中の映画『ミュータント・タートルズ』なのだ。

 本作は原作のリブート版。彼らをミュータントに進化させた薬・ミュータンジェンの出自が、宇宙人由来からヒロイン・エイプリルの父による発明になったり、ネズミのスプリンターの元飼い主が忍者という設定がなくなっていたりと、変更点は多い。タートルズのデザインも原作を踏襲した以前の映画とは違い、原作にない鼻の穴がデザインされていて、公開前は「大丈夫なのか?」と、ファンを大いに困惑させたという。

 さて、そんな最新作のプロデューサーは、あの『トランスフォーマー』のマイケル・ベイである。ベイといえば、彼が監督する作品はベイ・ヘム(Bay-hem)という造語で表される。監督の名前と、英語で「破壊行為」や「混乱」を意味する「メイヘム(mayhem)」を合わせた言葉だ。

 長回しの相米慎二、血まみれのサム・ペキンパー、スローモーションのジョン・ウー、皆殺しの富野などなど、有名な監督にはリスペクト込みのあだ名が付けられる。ベイの場合は“爆発”である。

 YouTubeなどで『もしマイケル・ベイが○○を監督したら』という動画を見たことがあるなら、話が早い。とにかく爆発と破壊の描写が大好物。しかも、スタッフに説明しても理解されない場合が多かったのと、自分でやっちゃうのが好きなのも手伝って、ハンディカメラなどは自分で回しちゃったりもする、行動派の監督なのだ。

 ベイのお約束といえば、かっこいいカーアクション、破壊、派手な爆発、そしてぐるぐる回るカメラに尽きる。監督デビュー作『バッドボーイズ』でもウィル・スミスとマーティン・ローレンスの周りをぐるぐると螺旋状にカメラを回してみたのを皮切りに、『ザ・ロック』ではニコラス・ケイジの周りを、『アルマゲドン』ではブルース・ウィリスの周りを、『トランスフォーマー』シリーズではオプティマスの周りを、カメラはぐるぐると回るのだ。

 そんなベイがプロデューサーを務め、ベイが所有するスタジオ「プラチナム・デューン」が製作する本作は、果たしてどうだったのかというと……。爆発こそ少なかったものの、雪山を舞台にした壮絶カーチェイスに始まり、クライマックスの高層ビル屋上の対決ではカメラがぐるんぐるんと回っている!

 監督を務めたのは、名作ホラー『悪魔のいけにえ』のリメイク『テキサス・チェーンソー』のプリクエル(前日譚)となる『テキサス・チェーンソー・ビギニング』でベイとタッグを組んだこともあるジョナサン・リーベスマン。リーベスマン監督は、政府が密かに行う恐ろしい実験を描く『実験室KR-13』や、宇宙人の侵略を受けて壊滅的な打撃を受けながらも戦い続けるアメリカ兵の姿を追う『世界侵略:ロサンゼルス決戦』など、どちらかというとドキュメンタリー的なカメラが特徴だ。しかし、本作では娯楽に徹して、ベイ・ヘムをばりばりと披露してくれる。

 また、ヒロインのエイプリル役は『トランスフォーマー』シリーズで一躍有名となったミーガン・フォックスが演じる。ミーガン・フォックスといえば、自分を有名にした『トランスフォーマー』とマイケル・ベイの演出について、否定的な発言をしたことでも有名だ。実際、『トランスフォーマー』3作目は降板している。そんな彼女がふたたびベイ関連作品に返り咲いたのは喜ばしい。子供たちはタートルズの活躍に注目し、大人はミーガン・フォックスのセクシーなボディラインに注目しよう。というのは半分冗談として、最新のVFXで描かれるタートルズの活躍は本当に楽しくカッコイイので、劇場で堪能していただきたい。
(文/加藤千高)

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