【初心者歓迎! アメコミ道場 Vol.3】

映画「アベンジャーズ」プロジェクトが100倍面白くなる!! アメリカ現代史に翻弄された“キャプテン・アメリカ”の黒歴史

――空を見ろ! 鳥だ! 飛行機だ! いや、スーパーマンだ!! バットマンだ!!! スパイダーマンだ!!!! アイアンマンだ!!!!! X-MENだ!!!!!! ヤツラは、そう……アメコミだ!!!!!!! もはやエンターテインメントを語る上で、不可欠の存在となったアメコミ文化。そんなアメコミの魅力や基礎知識、映画・ゲームなどの関連情報を紹介していく本コーナー。今回は現在(2014年5月)、映画『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』が、全世界興収が約6億ドルという記録的大ヒットとなったスーパーヒーロー“キャプテン・アメリカ”の隠された歴史を紹介しよう。

 赤青白の星条旗を模した派手なコスチュームに身を包み、マスクの額にはでっかく“A”と記されている“キャプテン・アメリカ”は、良くも悪くもアメリカを象徴するヒーローです。その性格はよくいえば“真面目で熱血”、悪くいえば“杓子定規で融通がきかない”。古きよきアメリカのモラルの体現者とでもいえばいいでしょうか。映画『アベンジャーズ』では、神様のロキにまで“時代遅れのヒーロー”呼ばわりされるほど時代錯誤な“正義の味方”っぷりに苦笑した人も多いでしょう。

 しかしキャプテン・アメリカ……えーと長いので、これより先は愛称のキャップって呼ぶこととします。キャップがこんな風になってしまったのには、ちゃんとした理由があるんです! 実は彼は“スーパーマン”と並んでアメリカの象徴として崇められる一方で、アメコミの中でも随一アメリカ現代史の流れに翻弄され続けてきたヒーローなのです。

 まず、マーベル・ユニバース正史内でのキャップの公式な設定を簡単におさらいしましょう【※ちなみにマーベルのコミックは、マルチバース(多元的宇宙)と呼ばれる設定を取り込んでおり、映画版やアニメ、またはヒーローがゾンビ化した“マーベル・ゾンビーズ”などのアナザーワールドものは、それぞれ別のユニバースとして存在することになっています】。

 第二次世界大戦前夜、愛国心と正義感に燃える青年、スティーブ・ロジャースは陸軍に志願しますが、あまりに貧弱な体格のため、検査で落とされてしまいます。それでも入隊をあきらめ切れなかった彼は、軍が極秘に進めていた超人血清による“スーパーソルジャー計画”の検体となり、筋力、代謝能力、耐久力すべてが常人とはかけ離れた、超人兵士として生まれ変わりました。かくしてスーパーヒーロー“キャプテン・アメリカ”として、ナチスをはじめ枢軸国と戦ったスティーブですが、終戦直前の1945年、任務中の飛行機事故で水中に墜落し、そのまま仮死状態となってしまいます(行動を共にしていた相棒の少年バッキーはこの時、生死不明に)。そして20年後の1964年、アベンジャーズによって発見、蘇生されたキャップは、チームの中心となり、“自由”と“民主主義”を守るため、戦うのでした……。

 上記の概要でおわかりの通り、キャップことキャプテン・アメリカが、ライター(原作者)のジョー・サイモンと、アーティスト(作画)のジャック・カービーのコンビによって生み出されたのは、第二次世界大戦開戦直前の1941年。当時、まだアメリカは枢軸国との戦争に参入してはいませんでしたが、すでに国際社会でヒトラーやナチスは悪役としてのポジションに立っており、国民の不安も高まっている時でした。

 そんな年の3月に刊行された『Captain America Comics No.1』の表紙は、なんとヒトラーを殴っているキャップの雄姿! 先陣をきって、ナチスや枢軸国と戦うキャップに人々は熱狂しました。そして同年の12月、日本の真珠湾攻撃をきっかけにアメリカが参戦すると、戦意高揚の側面もあるスーパーヒーローもののアメコミが人気を集めます。中でも外見からしてアメリカを背負った『キャプテン・アメリカ』シリーズは大ヒット作となりました。そうキャップは、その誕生時からアメリカの世相と共に歩んできたのです。

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