オッサンから虐殺魔まで…まだアニメ化されていない“キワモノ”魔法少女マンガ3選

 いまやアニメ、マンガ、ライトノベルの題材として一大ジャンルとなった“魔法少女”モノ。TV版、劇場版とも深夜アニメとしては異例の記録を打ち立てた『魔法少女まどか☆マギカ』、シリーズ10年を迎えスピンオフ作のアニメ化も発表されている『魔法少女リリカルなのは』、大ヒットゲームの外伝コミックとしてアニメ版の人気も高い『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』――これらを筆頭に、各メディアで魔法少女という言葉を見かけないシーズンはほぼないと言ってもいい。

 そんな属性も定義も多様化していく“魔法少女”ジャンルのマンガから、今回はまだアニメ化されていないキワモノ作品を3本選んで紹介したい。

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■魔法少女がオッサン
魔法少女さん

 白泉社の「ヤングアニメルDensi」にて配信中(外部参照)。若干オタっ気ある青年が、突然転がり込んできた「魔法少女」と同居の日々を過ごす4コマ作品だ。

 魔法少女と同居……なんて聞けばサービスシーンの夢も膨らむが、本作はそんなモノ皆無。この魔法少女というのが平常時は2頭身で、めったに美少女化(本気モード)しない。しかも口調は関西弁で趣味はセクハラ。公式で“オッサン”認定されているほどである。そして行動・思想・人脈など全般的にうさんくさい。

 作中ではこれといって魔物や悪の組織と戦うことなく、まったり気味の日常生活が進行する。変身シーンは省略、人助けのために使う魔法の演出も最小限と見事なまでに“魔法少女モノのお約束”を裏切っているが、そんな力の抜き具合がまた心地よい。足し算ではなく引き算の発想から作られた癒やしテイストな作品だ。

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■魔法少女が筋肉ダルマ&ロリ
魔法少女プリティ☆ベル

 マッグガーデンの「月刊コミックブレイド」にて配信中(外部参照)。世界が危機を迎え、それを救う存在「魔法少女プリティ☆ベル」に変身できる“適合者”に選ばれたのは可憐な小学4年生の少女――ともう一人、なぜか35歳の巨漢ボディビルダーだった……という出オチのような設定が特徴。心優しいボディビルダーはいたいけな少女を危険にさらさないため、みずから魔法少女プリティ☆ベルとして恥ずかしいコスチューム(パンチラ有り)に身を包んで魔物と対峙するのだ。

 設定こそネタまみれではあるが世界観は緻密に作りこまれており、ストーリー自体もコメディシーンを挟みつつ結構シリアス。“魔法少女がマッチョな♂”という強烈なインパクトを第1巻で与えながら、徐々に天界・魔界・第三勢力まで入り乱れた複雑な展開へと移行していく。また、“魔法少女に変身できる適合者が2人いる”設定も単なる一発ネタではなく、「普段は安定した戦果をもたらすボディビルダーで戦う」「ここ一番では切り札として、燃費は最悪だが絶大な魔力を持つ小学生を投入する」といった具合に作中で無駄なく活かされている。ほとんどの“戦う魔法少女モノ”が局地戦メインなのに対して、本作では軍vs軍という戦略レベルに踏み込んだ言及がされているのもユニーク。

 作者・KAKERU氏が成年マンガ誌の出身(別名義)であるためか、巨乳美女からロリまで女性キャラの描写がすばらしく、またボディビルダーの筋肉美はうざいほど暑苦しい。この作画クオリティと濃密なストーリーがマッチし“読み応え”という一点では他の追随を許さない完成度を誇っている。

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■魔法少女が虐殺魔
魔法少女・オブ・ジ・エンド

「別冊少年チャンピオン」(秋田書店)にて連載中。平穏な生活を送っていた少年の通う高校へ突如として「大量の魔法少女たち」が来襲し、無差別に虐殺を繰りひろげる。どうにか死なずに済んだ少年は生き残りの人々とともに逃亡を続け、「魔法少女・オブ・ジ・エンド計画」の真相に迫っていく……というサバイバルホラー。

 平和な日々が魔物の襲来で破られる序盤ストーリーはよくあるテンプレ通りだが、襲ってくる敵がよもやの“魔法少女”なのは新鮮。まがまがしいクリーチャーじみた魔法少女の集団が「まじかるー」と呟きながら人間の肉体を引きちぎっていく光景はなかなかトラウマ的だ。しかも魔法少女に殺された者は“ゾンビ”として蘇り、生存者を殺しに来るという設定。今まで一緒に逃げていた友人や恋人がゾンビ化して襲ってくるわけだから救いがない。

 序盤は突然の怪異発生から逃走→感染拡大→ショッピングセンターでの防戦→生存者の仲間割れと、見事なまでに欧米のゾンビ映画をリスペクトした展開。そして3巻以降はタイムトラベルやサイコサスペンスなど新要素を加えながら、徐々に物語の核心が語られていく。全体的にグロで不快な描写が多く、作者の画風にもクセが強いため読者を選ぶかもしれないが、『神さまの言うとおり』(講談社)『バトル・ロワイアル』(マンガ版は秋田書店)などの“理不尽系サバイバル作品”が好きな人はきっと気にいるはずだ。

(文/浜田六郎)

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