やりたい放題に見えて実は計算ずく!? 『スペース☆ダンディ』シーズン2【第一話レビュー】

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――ジメジメ蒸し蒸し、鬱陶しい梅雨空と台風をスカッとアニメでぶっ飛ばせ！　7月より放映開始された2014夏の深夜アニメの第一話をレビューして、オススメ作品をコンセルジュする連載「深夜アニメ　闇夜の千本ノック」！　※放送日などは全国ネット及びTOKYO MXに準拠します。

【6日（日）編】

■『スペース☆ダンディ』シーズン2
第14話（シーズン2第1話）「オンリーワンになれないじゃんよ」

『スペース☆ダンディ』公式サイトより。

　原作・ボンズ、渡辺信一郎総監督・夏目真悟監督、アニメーション制作・ボンズによるコミカルスペースオペラの第2シーズン。

　役に立たない生物ばかり登録センターに持ち込むダンディ達に怒ったスカーレットは、3人に仕事に見切りをつけ転職することを薦める。アロハオエ号の中で「今とは違う、自分の可能性」に思いを巡らせる三人だったが、ダンディの髪から糸のようなものが飛び出していることに気づく。それは実はほつれた宇宙ひもの端であり、一同は平行宇宙へと放り出されてしまう。次々と現れる別人のダンディ・QT・ミャウたち、彼らは一体何者なのか？

　矢島正明氏のナレーションから始まるOPがもはや懐かしさを感じさせてくれる『スペース☆ダンディ』第二シーズン。今回は平行世界を巡るダンディたちが、さまざまな活躍をしている「もう一人の自分」と出会うことで本当の自分とはなにかを見つめなおす……などという高尚なことはなく、ひたすらスラップスティックな展開が続くギャグ話。デザイナーも性別も違う平行世界でのダンディたちは80年代アニメを思わせるキャラが多かったように感じましたが、これは本作が海外でも同時に放映されているため「わかりやすい昔のジャパニメーション風」を狙った演出意図かも知れません。さすがに色々ヤバかったのか、「伝説の巨神に乗った赤いアフロのダンディとその仲間」は一瞬しか登場しませんでしたが……。

　最新宇宙理論の『宇宙ひも理論』と科学パラドックスの一つである『シュレディンガーの猫』を巧みにストーリーの中に組み込んでSFアニメとしての側面も強化されていましたが、実はそれだけではありません。第1シーズン第1話「流れ流されて生きるじゃんよ」も宇宙ひもを引っ張るネタから始まりラストは爆発全滅オチ、と今回とまったく同じパターンで構成されておりシンクロしているのです。もしかしてこれまでのダンディの冒険も平行宇宙の出来事だったのは？　と勘ぐらせる優れた脚本のアイデアに感服。

　やりたい放題やっているように見えて、その実ゲストキャラを出さずにレギュラーのキャラクターだけでしっかり話を回し物語中の役割分担も説明するという、ファーストエピソードの条件をきっちりこなした傑作回だと思います。

　このまま『スペースダンディ』が半年とか一年毎に帰ってくる定番コンテンツに育ってくれたらいいなあと思った次第です。

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（文／出口ナオト）