アニメ『22/7(ナナブンノニジュウニ)』大団円を迎えるも、アニメを楽しみすぎたゆえの弊害が出てきた第12話

TVアニメ「22/7(ナナブンノニジュウニ)」より

 突如しゃべり始めた壁。今回のナナニジのプロジェクトは全てメンバーを監視し、記録する壮大な実験であることを明かす。そして実験段階は次のフェーズに移ったため、メンバーは全て用済みになったことを告げる。
 
 今まで一度もしゃべらなかったのに突然フリーザ様ボイスで『実験をしていた』、と言われたらかなり怖い。だがメンバーは自分たちが戸惑いながらも、一生懸命やってきた時間や気持ちをないがしろにするような言い方に傷つき、怒り感情を爆発させる。なかでもニコルは壁に頭を下げ、実験でもなんでもいいから、このメンバーで再度ナナニジを続けさせてほしいと懇願。その姿にメンバーもみな心を打たれたが、肝心の壁はにべもなく却下する。

 メンバーがショック状態の中、次に行動を起こしたのはみうだった。彼女は壁に向かい、椅子で殴り掛かると、穴が開くほどにめったうち。ニコルの回想でも思ったけれど、みうちゃんは怒ると先に手が出るタイプのようだ。壁を殴り続け、メンバーそれぞれとの思い出を語るみう。

「桜ちゃんは、人見知りだった私に最初に声をかけてくれて、アイドルを続ける勇気をくれた、やさしい人」

「麗華ちゃんは、リーダーとしていつも22/7を支えてくれる強い人」

「都ちゃんは、いつだってチームを1つにまとめようとしてくれたムードメーカー」

「ジュンちゃんは、どんな時も前向きで、いつもチームを明るくしてくれる可愛い妹」

「あかねちゃんは、ステージの成功を誰よりも喜んでた心の温かい人」

「斎藤さんは、歌とダンスでいつも22/7を引っ張ってくれた、22/7の中心」

「絢香ちゃんは、いつもクールで少しぶっきらぼうに見えるけど、誰より22/7を愛する人」
 

 そしてみうは彼女たちとともに、自分たちだけでナナニジを続けていくと壁に啖呵を切り、メンバーたちも一緒に壁を壊しにかかる。

 壁の一部が崩れ去ると、その後ろには謎の部屋があった。そこにはメンバーの幼少期からの盗撮写真が所せましと張られており、さらに監視用のモニターがびっしりとあるある意味ストーカーの部屋のような場所。その部屋を抜けると長い階段があった。

 スマホのライトを頼りに、全員で階段を上っていく。事務所の中にいたはずなのに建物の中がダンジョンすぎてアニメのジャンルが変わったような気すらする。階段の先に扉を見つけるが、その先には何が待つのかわからない。いつもの円陣を組み、気合いを入れ直して扉を開ける。

 そこは上野動物園の野外ステージにつながっていた。待っていたのは、ナナニジ1周年を祝おうと事務所に集まっていたファンたち。彼らはスマホでナナニジの曲をかけながら、彼女たちが現れるのを待っていたのだ。

 待っていてくれたファンの期待に応えるために、彼女たちはマイクを握り歌うことを決める。歌う前に今まではうつむいてばかりだったみうもファンの前で語り始める。アナナニジになった当初はアイドルになんてなりたくなかったが、今ではナナニジでいることが好きになった。これからもアイドルを続けると宣言しファンの音源を頼りに彼女たちのステージはスタートする。

 なんでこんなにファンが集まってるんだ? なんで音源全員が合うんだ? 照明ついてるぞ? 音響どうなってるんだ? 全部アニメのご都合主義なのか? と思ったら、このライブに向けて、マネージャーである合田さんに壁から「1周年ライブの準備をせよ」と指令が下っていたという。だが、そこにメンバーがやってこなかったらこのライブは開催されることはなかったというから壁は彼女たちの行動を全て見透かし、指令を出していたのだ。

 壁は、真のアイドルでありたいという気持ちと、信じあうファンの気持ちが合わさって生まれたこのライブの景色をメンバーに見せたかったのではないか、というのが合田の考える今回の指令の意図だ。

 幼少期から様々な境遇を経てここに集ったナナニジメンバー。みうとニコルも過去に出会って相容れない関係として描かれていたが最後の最後に二人は笑ってファンの前に立つことができた。

 ここからさらにナナニジのストーリーは続いていく。そして、そんな希望に満ちたエンディングのあとに壁が新たな指令を吐き出す。そこには「新メンバー三人加入」の文字。みかみ、悠希、つぼみという三人の姿が一瞬だけ映ったが、彼女たち加入の物語はまたいつか……というところで幕が下りた。

 個人的には都とジュンの個別エピソードが無かったらこのアニメを継続してみることはなかっただろう。それくらい話題性だけのアニメだという印象しかなかっただけにインパクトのあるキャラクターというのは大事だった。全員が暗い過去を持ちすぎていてお腹いっぱいになる部分も多々あったがそのおかげでグループ全体に愛着も沸いた。

 成長した彼女たちの活動を2期でまた見れるのを期待したい。しかし、アニメキャラに愛着がわきすぎて現実のメンバーには微塵も興味が持てないのは問題だろうか……。

(文=三澤凛)

アニメ『22/7(ナナブンノニジュウニ)』大団円を迎えるも、アニメを楽しみすぎたゆえの弊害が出てきた第12話のページです。おたぽるは、アニメ作品レビューの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

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