アニメ『なつなぐ!』夏奈の涙ながらに吐露した想いが伊月の閉じた心をこじ開けた最終回

 


12話 みち

 熊本自治体製作アニメ、とうとう最終回。5分番組ということで進行に強引さが感じられる部分もあったが、最後にどのような結末を描くのか。


 伊月に言いそびれたことがある、と空港から引き換えした夏奈。途中で送ってくれていた正義の車のバッテリーが上がってしまい、途中から走って彼女の元に向かう。

 自分は伊月ではない、と言い続ける彼女にかまわず、夏奈は伝えたかった言葉を投げかける。

「もっと伊月と話をしたい。もっと話をしなくてはいけなかったのに遅くなってごめん。友達だからちゃんとあって話したかった。あの時みたいにもう一度話をしよう」

 この強い気持ちと言葉が伊月に届いた。ようやく伊月であることを認め、涙ながらに地震のあとに何があったかを語り始めた。

 彼女は地震の際に手を怪我し、絵が描けなくなってしまった。おばあちゃんの家があるこの場所で懸命にリハビリに励んでいたという。

 夏奈にも連絡を取りたかったが怖かった。伊月と夏奈はどこかお互いに声をかけることにどこか臆病になっていたためにすれ違ってしまっていた。

 この時の二人の泣きながらの芝居がとても真に迫っていて、胸にこみあげてくるものがあった。このために今までのストーリーがあったといっても過言ではないくらいにいいシーンだった。

 また一緒に絵を描こう、と笑いあい物語は完結。熊本の愛がたくさん詰まった作品。絵の感じも独特で好き嫌いもあるだろうが、一般的なアニメとの違いが感じられた。震災によって変わること、それによって生まれたものについても考えさせられた。頑張ろう熊本。

(文=三澤凛)

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