ドラマ『まだ結婚できない男』最終話――それでもやっぱり「結婚」はできない? 桑野が口にした本当の思い

フジテレビ系『まだ結婚できない男』番組公式サイトより

 どんなものでもそうだが、身の回りにたくさんあふれていると、そのひとつひとつの大切さが薄れていくように思う。例えば、大金持ちの人より貧しい人の方が、1,000円のありがたみを実感するだろうし、友達がたくさんいる人よりも、少ない人のほうが、一人一人の大切さを感じることができるだろう。

 そして、それは多分、恋愛でも同じだ。たくさんの恋愛を経験し、彼氏・彼女が途切れたことがないというような人も、それはそれで羨ましく思うけど、1回1回の恋愛の尊さは、経験の少ない人の方が、より強く感じていると思う。

 いよいよ最終回となったドラマ『まだ結婚できない男』(フジテレビ系)。おそらくは、そんなに恋愛経験が多くないであろう桑野(阿部寛)と弁護士の吉山(吉田羊)が、その想いを大切にする姿が印象的だった。

 

■桑野と吉山の法廷対決

 妻と離婚し、一人で暮らす家を建てたいと、桑野に設計を依頼してきた男性・木村(伊藤正之)と、それを阻もうとする妻との裁判に、桑野は証人として出廷することとなった。妻側の弁護を担当する吉山と、法廷で対決することになるのだ。

 迎えた裁判で、吉山は、木村が別の女性と暮らすつもりで家を建てるのではないかと指摘する。しかし、桑野は作っていた家の設計図を見せ、それに真っ向から反論する。

 一人で暮らせるような小さなリビング、玄関やお風呂、トイレなどへもすぐに行けるような仕様。貧しかった頃住んでいた4畳半のアパートをイメージして作っており、そこに他人の入り込む余地はないというのだ。さらに、家の壁には小さな穴が空いており、そこに鉄道模型を走らせることができるようにもなっている。まさに男性の、「一人で快適に暮らしたい」という夢を実現する家だったのだ。

 ドラマの中とはいえ、この家のコンセプトは、実に羨ましい。私自身も、歳を重ねて、少しずつ住んでいる家は広くなっているものの、基本的な作りは、初めて一人暮らしをした頃の6畳一間の生活とあまり変わっていない。みんながみんなそうではないだろうが、男性はえてして、狭くて機能的な空間に憧れる気持ちがあるように思う。ついでに話しておけば、私も若い頃鉄道模型が好きで、実家の屋根裏にレールを設置し、電車を走られて楽しんでいたものだ。男の夢がふんだんに盛り込まれた、この家に憧れる男性は多いのではないだろうか。

 裁判の方は、吉山と桑野の結婚観へと論点が移っていった。「『誰かと暮らしたい。一人は寂しい』というのは人として自然な感情」と言う吉山に対し、「そうではない人間もいる。そういう主観は排除すべき」と主張する桑野。両者の意見は交わりそうもない。結局、木村と妻というよりは、桑野と吉山の対決に終始し、裁判を終えるのだった。

 裁判の後、桑野は男性から依頼のあった家の設計図を直していた。それは、奥さんと二人で新しい生活をできるような、そんな家だった。吉山を経由してその設計図を見た夫妻は、あらためてやり直すことを決める。桑野が作った新しい図面は、二人の未来の設計図でもあったのだ。

 その頃、吉山は地元の長野に帰って、母親の事務所を継ごうかと迷っていた。そのことを相談されたカフェのオーナー・有希江(稲森いずみ)は、吉山と桑野のことを応援するというような言葉を口にする。でも、これは本心だったのだろうか? 吉山と桑野の関係を見て、自ら身を引こうと考えた末の言葉であったようにも思う。

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