ドラマ『まだ結婚できない男』最終話――それでもやっぱり「結婚」はできない? 桑野が口にした本当の思い

■吉山が長野に帰ると聞いた桑野は……

 吉山から「長野に帰ろうかと思う」と聞かさせた桑野は、動揺を隠せない。吉山と話していても、寂しさを感じているようだ。しかし、どうしても「行かないで欲しい」とは口にできない。そして、ある夜、桑野は吉山を呼び出す。

 長野と東京の近さ、一極集中の問題、色々と話した末に告げる。

「あなたがいないと、つまらないし。寂しくなる」

「帰るのをやめます」、そう言って涙を流す吉山に、桑野は言うのだ。「じゃ、次は本番で」。

 なんと、今のはリハーサルだったというのだ。さすがは桑野、一筋縄ではいかない。話したセリフも、一晩考えて作ったものだというのだ。

「リハーサル」については別にしても、女性と話すことを事前に考えるというのは、実によくわかる。今の人はそんなことしないのかもしれないが、私が若い頃は、女の子と電話する前に、何を話すか書き出したりしたものだ。念には念を入れて、相手がどう答えてもいいように、フローチャートのように書き込んだりもしていた。少ない恋愛を楽しむというのは、そういうことも含めてのことなのだ。

 ドラマのラスト、色々あったものの、桑野と吉山は和解する。そして二人で映画に向かう。実に気持ちのいいハッピーエンドだった。

 ドラマでは、一人でいること、誰かと一緒にいることがテーマになっていたが、人の感情というのは、相対的な場面で生まれてくるものだ。海があることを知らない地域に暮らす人たちは、海で泳ぎたいなどということは思わないだろう。それと同じで、誰かといる楽しさを知らなければ、一人が寂しいなどとは思わないのだ。このドラマで、桑野は、いつの間にか吉山と一緒にいて、ケンカし合う楽しさを知ってしまったのだろう。だから、彼女がいなくなることの寂しさを知ったのだ。

 多様化などと言われる今の世の中で、一人でいることは珍しくなくなった。でも、だからこそ、誰かといることの大切さも、考えてみるべきなのではないだろうか。このドラマは、ある意味逆説的に、それを示してくれたように思う。

 そして、何より、全話を通して明るくて楽しかった。重みのある人間ドラマやサスペンスものもいいけれど、ひとつぐらいはこういうドラマがないと、やっぱり寂しい。そう、私達は、こんなドラマがあることを知ってしまったから。だから、それがなくなることの寂しさも感じてしまっているのだ。

(プレヤード)

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