華山みおの物語探索 その68

『風をつかまえた少年』学習することの本当の意味を教えてくれる映画!私たちがいまできる事は何?

 今回はキウェテル・イジョフォー監督の映画『風をつかまえた少年』をレビューします。

 14歳のウィリアム(マクスウェル・シンバ)は、2001年にアフリカのマラウイを襲った干ばつのために学費を払えず、学校に行けなくなってしまう。彼は図書館で見つけたある本から、独学で発電のできる風車を作り畑に水を引くことを思いつくが、雨乞いの祈祷をする村でウィリアムを理解する者はいなかった。だが、家族を助けたいという彼の思いが、徐々に周囲を動かしていく。

 予告で観たくなる映画が多いのですが、この映画は予告の段階で涙腺を刺激されていて公開されたら絶対に行かねば! と半ば使命感のような気持ちで映画館に足を運びました。

 事実を基にした物語というのは、どこか美化されたように描かれるものが多いです。人々に感動を促すように誇張してあるような演出が鼻につく場合もありますが、この作品はあまりそういった部分は感じられず、淡々と事実を映し出されているような、苦しさややるせなさまでもがリアルに映し出されていました。

 2001年の話ということで、本当にごく最近の話だということにも衝撃を受けました。日本ではインターネットも当たり前に使用されているときに、電気を通して水を運ぶということすらままならない場所があるということ。教育を受けられないことが導く不幸(何をもって不幸というかはそれぞれかもしれないが、知らないという事で選択肢が狭められていることを、私は不幸だと思う)や、環境や天候がじわじわと生活を脅かしていく様。どれもこれも現代の日本に住んでいると信じられないことばかりでした。

 両親が自分たちとは違って教育を受けさせてやりたいと、主人公のウイリアムを学校に行かせてやろうとしたものの、お金を払えずすぐに退学処分になってしまいます。十分な教育が受けられれば本人のやる気も、色々なことを学ぶだけの素養もあるのにその必要最低限すら保証されていません。

 家族総出で農業をやるも、それは望んで家業となっているわけではなく、それしか選べなかっただけで皆が不満を持っています。しかもその農業も干ばつのせいで一家が食べていく分の収穫には足りず、厳しい生活が余儀なくされます。もちろん収穫物が足りないのはこの家族だけではなく、近隣地域のものは誰もが食料不足に陥っています。そんな中で起こる暴動や盗難。どんどん一家も地域も追い込まれていきます。

 ウイリアムはこの窮地を脱するには水が必要だと考えます。何が必要でどうすれば解決出来るかは、学んだ知識から導き出し、父の協力が必要と答えを出しました。

 しかし、父は教育を受けていません。必要な物事に到達するためのプロセスをただ遊んでいるだけだとみなし、風力で水が来るなんてありえないと話を聞く気すらありません。このシーンが本当に教育の大切さ、人類が最低限である教育を受ける意味を痛感させられました。私たちは、世界には多くこういった場所が存在していることを改めて知らなければならないと、強く感じました。知ってどうするのかは、それぞれが決めることですが、何も知らないことや想像をしないということの罪深さというものは気づいてほしいです。

 これは実話をもとにした作品です。主人公ウイリアムは本当に村に水を通し危機を救いました。そして彼は学ぶことを続け、大学を卒業しました。現在は色々なプロジェクトに関わっているそうです。

 発展することで失われるものは多いかもしれません。でも、発展することで助かる命があります。

 この映画を劇場で観ると、有料入場者の1名につき50円が学習困難な子供たちに寄付されます。ぜひ映画館に足を運んでほしいです。その行為で知れることがあり、誰かの助けとなって一石二鳥です!!

 知らないことを知ることで世界は広がります。改めてそれを教えてもらった素敵な映画でした。
(文=華山みお)

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