ディズニー・ピクサーの誇る名作アニメ『トイ・ストーリー』シリーズの最新作が公開されましたね! シリーズを通してのファンも多く、ちいさな頃からウッディたちの物語と共に成長したという人も多いのではないでしょうか? 今回はそんな『トイ・ストーリー4』をレビュー!!
ある日、幼稚園生になるボニーは学校の工作でフォーキーを作り家に持ち帰る。ウッディはみんなにボニーの今1番のお気に入りである彼を快く紹介するが、フォークやモールでできたフォーキーは自分を“ゴミ”だと認識し、「ボクはおもちゃじゃない!」とボニーの元から逃げ出してしまう。彼を連れ戻そうと追いかけるウッディは説得を試みるが、フォーキーに伝わらない。感覚のズレた2人がボニーの元に戻る道すがらアンティークショップでボー・ピープのランプを発見し、ウッディは思わずお店に侵入してしまう。そこには、かつての仲間で今は持ち主はいないが外の広い世界を知ったボー・ピープが!一方、なかなか戻ってこないウッディとフォーキーを心配したバズたちも2人の捜索へ乗り出すが…。
実は私、元々ピクサー作品に対して苦手意識があり(『リメンバー・ミー』までまともに観てこなかった)、1~3までをリアルタイムでは見ておらず、キャラクターの顔と名前の認識と、大まかなストーリーは知っていたものの、キチンとシリーズを通してみたことはありませんでした。
しかし、連日映画館に通うと流れまくるCMが気になり、思い立ってAmazonプライムで1~3までをレンタルダウンロードして一気見。
なんだよ最高かよ!!!
世界中が知ってた感想なんですけど、24年遅れて叫びました。最高ですね。なにこれ。いままでこれを見逃してたの!?
そんなわけで『トイ・ストーリー4』の公開を遅ればせながら、楽しみにして映画館に向かいました。
映画って最初に制作会社・配給会社のロゴから始まるじゃないですか。トイストーリーだとディズニーのロゴがでてピクサーのアニメーションロゴがバーンって出るんですけど、そこからもう『トイ・ストーリー4』の世界が始まっています。そこからもう感動……。
アンディからボニーへと所有者の変わったおもちゃたちと、新しいおもちゃフォーキーを巡る大冒険。そしてウッディたちの成長と決断……という笑いも涙もてんこ盛りの4作目。
公開されてから賛否両論言われているようですが、私はとても楽しんで観ることが出来ました。
そもそもピクサーは「過去作を上回る“語るべき物語”がある場合以外は続編を作らない」というポリシーの元作品を作っているとのことで、4が作成されたということは、この物語が語るべきだと判断されたからだと思います。
3が公開されてから9年。この間に世界は大きく変わり子供とおもちゃとのかかわり方も大分変わったのではないでしょうか。
もちろんおもちゃと遊ぶ、という行為自体は失われることはないかもしれませんが、スマホが産まれたときから当たり前に存在する世代の子供たち。物が溢れる時代のおもちゃと、子供の関わり方の希薄、また個人それぞれの在り方も変わったことによって、今また『トイ・ストーリー』の物語が紡がれる必要が出たのではないでしょうか。
今までずっとアンディの1番のお気に入りだったウッディが、ボニーの家のおもちゃになって見向きもされないおもちゃになってしまった現実が描かれます。
保育園のお試し教室に向かうボニーのリュックに入り込んだりする行動は、過保護な気もします。しかし、彼がアンディの家にいたときからずっと持ち主に笑顔でいてもらいたいという気持ちと、責任感の表れでもありますよね。
1から3まで、彼の中で一番の関心ごとは「持ち主の子供」のこと。つまりアンディのおもちゃであり、彼の1番の友達であるということが大事なキャラクターに見えていました。そんな彼が、「自分が、自分が」とならずにボニーの家では新しく入ってきた1番のお気に入りのフォーキーを優しく迎え入れ世話を焼く姿には、大きな成長が見えました。
1から3の中でもたくさんの成長をみせてくれていたウッディですが、これはまた少し意味が違うというか。生きる場所が変わったことでポジションの変更があり、それを受け入れてその中で自分がするべき役割を全うするというか。
だからこそ、一番のお気に入りなのにボニーの元を逃げ出そうとするフォーキーを身を挺して迎えにいくことが出来たのはウッディだけです。自分はボニーの一番のお気に入りではない。だけど自分はおもちゃだから、持ち主が悲しむことは全力で避けたい。という強い想いが見えてきます。
その原動力は何か? 彼のアンディとの思い出です。長い間、特別大事な存在だったウッディは、おもちゃにとって持ち主の子供に愛される喜びを知っています。その権利を所持しているのに自ら放棄するフォーキーを心底心配し説得を試みるのは、ウッディの心の中の持ち主は永遠にアンディだからではないでしょうか。
逃げ出したフォーキーとともに、ボニー一家を追って訪れた場所で、ボー・ピープと再会します。彼女は持ち主不在の野良おもちゃとして生活をしていることを知り、衝撃を受けます。
彼女の他にも、ギャビー・ギャビーやダッキー&バニーなど、誰かの持ち物になったことのないおもちゃたちに出会うことで、いままでウッディが信じていた「持ち主の元にいることがおもちゃの幸せ」という概念が揺らぎ始めるのです。
そしてウッディの親友のバズ。昔からずっと実直なバズが今回「内なる声」に従って道を決めていくシーンが印象的でした。ウッディが内なる声を聴いて行動したのを真似し始めたのがきっかけで、意味を勘違いして使い始めた自身の内臓ボイスを再生させました。非常にコミカルな行動でしたが、一番最後に正しい意味で心の声を聴くことをウッディに薦めるました。
最初は敵対していたウッディとバズが、短い言葉を交わすだけで通じ合うことが出来る仲になり、またもうこの絆がなくなることはないと強く感じさせてくれる「彼女は大丈夫」というバズの言葉は、この映画のクライマックスでした。
バズのキメ台詞「無限の彼方へ、さぁ行くぞ」をバズとウッディ、それぞれに聞いたときにこの物語の結末が、ウッディの決断が間違っていなかったことを教えてくれました。
また、『トイ・ストーリー』の既存のおもちゃたちはもちろん、今回も新しい魅力的なキャラクターがたくさん出てきましたね。フォーキーをはじめ、アンティークショップで恐怖に陥れたギャビー・ギャビーとベンソン。ボーの頼れる仲間ギグルとデューク、そして最強コンビのダッキー&バニー。それぞれに物語があって、映画を観る人それぞれに思い入れの深いおもちゃができますよね。私はダッキー&バニーです。大好き。
誰もが一度は遊んだことがあるおもちゃたちの新しい物語。どこを見てもとびっきりワクワクさせられるこの世界に、ぜひ遊びにいってください! 『トイ・ストーリー4』をリアルタイムで観られて本当によかった!!!
(文=華山みお)
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