オタクの「早口、唾飛ばし、顔真っ赤」はこうすれば劇的解決! 演技指導者に聞く!

※イメージ画僧

(早口)(唾飛ばし)(顔真っ赤)……、Twitterでは、他人のこのような必死なオタっぽい状態や身振りを馬鹿にするつぶやきや、自分のこのような状態を自嘲したりネタにするオタクをよく見る。『人前で変に緊張しなくなるすごい方法』(アスコム)の著者でありアイゼ演技ワークショップで演劇指導を行う伊藤丈恭氏に、オタク特有の居たたまれないコミュニケーションの原因となる、「緊張」の解き方について聞く。

伊藤丈恭著『人前で変に緊張しなくなるすごい方法』(アスコム)


■オタク、オンとオフしかなくその間の「遊び」がない問題を解決

――前回の記事(オタクは「早口、唾飛ばし、顔真っ赤」ですぐテンパるのはなぜなのか?演技指導者に聞く!)で、オタクにはオンかオフ、0か1、白か黒かでその間の「遊び」がないため、コミュニケーションが極端になりがち、と説明いただきました。どうすればこの「遊び」を持てるのでしょうか。

伊藤丈恭氏(以下、伊藤) 僕自身も元々は「オンかオフか」で考える方だったんです。白黒をはっきりさせることが正しくてグレーは間違っていたりズルいことだと思っていました。理系だったので「答えを出さないといけない」という意識もあったと思います。なので、僕自身0と1の中間の「遊び」や「グレーゾーン」を感覚で理解するのはだいぶ時間がかかりました。

――習得には時間がかかることだと思いますが、伊藤さんが体得していったことから、ヒントになるようなことはないでしょうか。

伊藤 お勧めはお芝居をすることです(笑)。人との生のコミュニケーションですし、また、演技に対して指導されますからコミュニケーション能力が鍛えられ、グレーゾーンを会得できていきます。

――オタクはやはり人付き合いへの苦手意識のある人が多いですから、なるべく1人でできる方法があればいいのですが……?

伊藤 でしたら「想像すること」もお勧めです。ただ、「想像の仕方」にポイントがあります。

 電車でボーッとしていて、なんとなく過去のことを思い出しているときって、結構記憶はあいまいですよね。あの店の壁は何色だったっけ? とかいちいち吟味をしません。

 でも演劇のワークにおいて「過去のことを思い出してみてください」と言われると、皆「真面目モード」に入ってしまうんです。あの壁は何色だったっけ、とかいちいち考えてしまう。本来できている「とりあえず無視したり、放っておいたり」ができなくなってしまうんですね。

――「とりあえず」って確かに白と黒の中間の、グレーゾーンの感覚ですよね。

伊藤 とりあえずと、適当な感じでやる方が、かえって効率がよかったりもするんですよ。

 演劇のワークで僕自身も、上京したてのころの町の情景を思い出す、という課題をやっていたんです。1日目は新鮮で面白い。2日目も昨日から進歩してきた様子が見えて面白い。でも3日目になるともう新しいものを思い出せなくなってくる。
 
 なので3日目からは上京したてのころでなく、住み始めて2年ほどたったころのことをあえて思い出すことにしたんです。映画館に行こうとして友達とはぐれたな、とか。そうした横道にそれているうちに、そういえば、上京したてのころはあんなこともあった、と新しいことを思い出せたんです。

 本来のテーマは「上京したてのころを思い出す」であり、「住んで2年後のことを思い出す」は横道なのですが、それたことで本題の回答も得られたんですよね。

 想像のポイントは「①無視する ②あいまいでいいとする ③わざとずるい方法はないか探す」ですね。

――オタクが苦手な「あいまい力」を培えますね。

伊藤 「ちゃんとやらないといけない」「間違えてはいけない」という考えはオタクに限らず誰しもあるものです。だからこそ「①無視する ②あいまいでいいとする ③わざとずるい方法はないか探す」をあえてやってみる。そうすると意外な発見があって、グレーゾーンのよさを発見することになります。

――グレーゾーンも悪くないな、気持ちいいな、と体感できれば0と1の間の世界が見えてきますね。

伊藤 そもそも、普段の自分の感情だって「グレー」なんですよね。「嬉しい」や「悲しい」など1つの感情が心をすべて支配しているケースなどめったにありません。さまざま感情があいまいに、はっきりしないで行き交っているのが普通なんです。そのあいまいさを認めてあげることですね。

――オタク同士で盛り上がっているあの「躁100%」の麻薬的な強烈な魅力は私自身知っていますが、そうではない複雑でほんのりとした味わいのよさも同時に知っておくと、コミュ力向上にもつながるし、何より自然な状態を大切に思えて、生きやすくなるでしょうね。

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