労働環境なんて悪いのが当たり前。幾度も繰り返されるアニメ業界の労働問題は「外野」の評論か

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マッドハウスオフィシャルサイトより


 幾度も繰り返されるけれども、なにも解決せずに「問題だなあ」という無責任なコメントや実現性のない怒りが空回りするだけ。世の中にはそんな「社会問題」のテーマがいくつかあるもの。その一つとなっているのが、アニメーターの労働環境の問題だ。これまでに幾度もメディアに取り上げられては、そのたびにネットで業界内外の人々が持論を展開するのが恒例のパターン。最近は政治屋も絡んできたりするけれども、実態として目に見えるような変化はなにもないのである。

 4月後半からは、また何カ月ぶりかにアニメーターの労働環境の問題で持論をぶちまける人が増えた。きっかけとなったのは『サマーウォーズ』や『時をかける少女』などで知られるマッドハウスに在籍している制作進行の担当者が
未払い残業代の請求と長時間労働の改善、スタッフによるパワハラの謝罪を求めて労働組合に加入し団体交渉を行っていることが報じられたこと。

 これまでも、過労死や争議といった事件を経てアニメーターの労働環境は幾度も問題視されてきた。それでもなお、改善される兆しがみえてこないのはなぜか。

「実際には下請け労働者のように働かされているという側面があっても、アニメ関連の業種で働いている人は少なからずクリエイターとしての意識があります。ですので、労働環境の改善や賃上げ交渉よりも“もっと上の地位にいけば自分は苦境から抜け出せる”と考えて仕事をしているわけです。団結して会社と交渉するなんてこととは、もっともほど遠い職業といえるんじゃないでしょうか」(制作会社社員)

 共同作業である一方、スキルを磨いて上の地位に上がることができる者は僅か。だから、今の苦労が激しいほどに未来は明るいと考えている者が多いのも、受け入れ難い真実なのだ。

「これだけ労働環境の悪さが評判になっていますから、覚悟のないものは逃げますよね。それでも残っている意志の強い人々なのですから、むしろ苦労は気にしないと思いますよ。結局、労働環境云々は外野の話だと思うんですが……」(前同)

 そんな苦労は、本当に将来の役に立つのか?
(文=大居 候)

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