ロボアニメ界のムッシュに直撃インタビュー!【後編】

月に2000枚描いたことも……鍛えられてきたベテランアニメーター・吉田徹が見る現在のアニメ業界

 関西のクリエーターたちの本音に迫る、当インタビュー。前編に引き続き、大阪が誇る老舗アニメスタジオ「アニメアール」のベテランアニメーター・吉田徹さんのお話をお届けしたい。ベテランだからこそ語れる、さらに、レトロロボアニメファンにはたまらない、「アニメ世界の昔と今」をたっぷりうかがった。

150223_yoshida01.jpg吉田さんの最初のメカ作品『装甲騎兵ボトムズ』。

* * * * *
 
――ここからは、吉田さん自身のお仕事のお話や、今のアニメ業界の話なんかを聞いていきたいと思うのですが、今まで描いてきた、かかわってきた作品の中で、特に思い入れのあるものってありますか?

吉田 徹(以下、吉田) やっぱり、『装甲騎兵ボトムズ』(1983~84年)、『機甲界ガリアン』(84~85年)、『蒼き流星SPTレイズナー』(85~86年)とかかな。特に『ボトムズ』は、一番最初にやった“メカ”やから、思い入れはある。一番の代表作が最初の作品になっちゃうんだけど、そこがあったからこそ今があるから、どうしても気持ちは強くなるよね。

 それに、今は同時に10本くらいの作品にかかわって、細かい部分部分を担当することが多いのだけど、『レイズナー』や『ガリアン』の頃は3人で1本、1話分を作ってたんで、単純に、作中の自分の割合が多いから思い入れがある、というところはあるよね。俺らの作品! みたいに思えるし。『ボトムズ』の頃なんかも、1本を5人くらいでやってたし。
 
――今の作品より昔の作品のほうが深く携わった分、思い入れが強くなると。

吉田 たとえば、1本で300カット必要だとして、できたら、そのうち50~70カットくらいはやりたいですよね。それくらいやったら、「自分の作品」っていう思い入れができる。今は、締め切りの加減や作品数の加減もあって、1本の中で10カットだけ担当する、ということも多いので、放送を見てても、コーヒーを入れに行ってる間に終わってしまったりするもんね(笑)。だからちょっと、寂しいことは寂しいかな。
 
――本当なら、できるだけ多くのカットを描きたいっていう気持ちがあるんですね。

吉田 作画やってる人は、できるなら全部ひとりで、少なくとも5人くらいまでで1作品をやり切れたらいいな、とは思ってると思うよ。
 
――ちなみに、もしひとりで作るとしたら、こんな作品を作りたい! というのはありますか?

吉田 作品の内容には、あまりこだわりはないかな? 描けるものならなんでも。
 
――今までで「これ、やりたかったー!」みたいな作品ってないですか?

吉田 「やりたかったなー」と思ってできなかったのは、『伝説の勇者ダ・ガーン』と『墓場鬼太郎』くらいかな? 基本的に、「この作品は自分でやりたい!」とかはないんですよ。
 
――では、「この人と仕事をしたい」とかはありますか?

吉田 アニメーターの金田伊功さん【註1】とは1回やりたかったなぁ。機会はあったんだけど、できなかったからね。僕らの世代からしたら、特別な存在だったから。
 
――今までお仕事された中で、印象に残ってる方とかは?

吉田 いっぱいいたけど、一緒に仕事をする前からその人のことを大体知ってる状態で始めるので、「うわぁ!」って驚くようなことはなかったかな。ただ、『スチームボーイ』の時に監督の大友克洋さんに会ったときは、「あっ、大友さんだ!」とは思ったけどね。

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