『君の名は。』のメガヒットは自主制作の観点でも大快挙! 一方、若手アニメーターの薄給は自主制作の観点でも大問題?

 例年、年末年始に自主制作に関する話題を振り返っている。今年2016年は、例えばニコニコ動画の誕生から10周年という年でもあり、この10年間、ニコニコ動画では自主制作アニメでも『さかなのうた』(犬尾)を端緒としてさまざまな作品が注目されてきている。今回はそれとは別に、話題となった『君の名は。』のメガヒットおよび若手アニメーターの薄給問題を、自主制作の観点から辿ってみたい。

■『君の名は。』の新海誠監督 初の自主制作『遠い世界』から20年で訪れた大快挙

shinkai1.jpg興収200億円超の『君の名は。』はアカデミー賞のノミネートも期待される

『君の名は。』の新海誠監督を語る際、自主制作の観点でも『ほしのこえ』(02年)以降、それ以前でも『彼女と彼女の猫』(00年)以降とされがちである。新海監督による最初の自主制作アニメは『遠い世界』(97年)なのだが、そこを起点として言及されることが基本的にない。実は今年は自主制作から数えると作家デビュー20年、そして来年17年は20周年というキリのよい節目に当たるのだ。

『遠い世界』や『彼女と彼女の猫』などを自主制作していた90年代後半、新海監督はゲーム会社に所属していた。当時はCGブームの真っ只中にあり、個人レベルでも各CG雑誌を賑わせるクリエイターが数多く見られた。その当時の熱気を14年に公開した当インタビュー「ロマのフ比嘉、CG作家活動20年を前に! 『自主制作で頑張ってもネコ動画に勝てない』時代をどう生き抜く?」(記事参照)でも記したところ、新海監督もTwitterにて「懐かしいお話がいろいろ!」と反応していた。

 また『ほしのこえ』から新海監督作品をプロデュースしてきた旧コミックス・ウェーブが設立されたのは98年。現行のコミックス・ウェーブ・フィルム(CWF)となったのは07年のブルズ・アイ、minoriとの会社分割によるものだ。他方、同社案件候補だった『センコロール』(宇木敦哉)が、06年に動画革命東京の支援作品として制作が進められるという出来事もあった(現在はアニプレックスより発売)。

shinkai2.jpgコミックス・ウェーブ・フィルムのブース(東京国際アニメフェア2010にて)

 10月3日に「『君の名は。』大ヒットの軌跡」と題し、東京新聞などに掲載されて反響を呼んだCWF・川口典孝社長のインタビューでは、新海監督の作品制作のために借金して常時3億円を用意していたとも書かれていた。思い返すと、気のせいかCWFとなってから社内の空気が変わったように感じられたのは、そうした川口社長の覚悟の表れだったかもしれない。川口社長はファンとも気さくに会話しているので、昔から新海監督を応援している人なら、その覚悟は理解できるだろう。

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根っこのところはあまり変わっていないと思うんですよね

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