ソリッドシチュエーションスリラー『ジグソウ:ソウ・レガシー』は『ソウ』シリーズの総括的作品であり新章の始まり!

 ソリッドシチュエーションスリラーというジャンルの金字塔を打ち立てた『ソウ』シリーズが7年の時を経て復活した。『ジグソウ:ソウ・レガシー』である。

 『ソウ』は2004年の記念すべき第1作が大ヒットして以降、毎年1作ずつ制作され公開されていった。いつしかハロウィンの風物詩となった映画は、7作目の『ソウ ザ・ファイナル』で完結を迎えたはずだった。

 それをどう復活させて料理するのか、公開前から注目度は高かった。ヒントはタイトルに付せられた「レガシー」の文字だ。「レガシー」つまり「遺産」である。

 『ソウ』の主犯であるジグゾウことジョン・クレイマーは、シリーズを重ねるたびに“後継者”を作っていた。アマンダ、ホフマン、そしてゴードン。タイトルからして、このあたりの後継者が出演するのではないかと予想された。『ソウ』のファンならご存知であろうが、アマンダ、ホフマンは死亡している。ということはゴードンが最有力候補。しかし『ソウ ザ・ファイナル』でホフマンを襲った豚マスクはふたりいたことが分かっている。奴らの正体はわかっていない。つまり、後継者はゴードンの他にあとふたりいるのは確実だ。そのときのメンバーが今回の主犯だろうか。多くの考察が公開前からされていた。

 さて実際の内容だが、簡単に内容を説明してみよう。今作はジグゾウが死んでから10年後となっている。殺人課のハロラン刑事が追い詰めた犯罪者が、ゲームが始まると不可解な言葉を残す。その直後、検視官であるローガンとエレノアのもとに、上あごから頭頂部を全て切断された死体が運び込まれる。首筋にはパズルのピースのように皮膚がくり抜かれたあった。その傷口からUSBスティックが見つかる。さっそくそのUSBをPCに差してみると、中らは音声データが見つかる。再生してみると、死んだはずのジグゾウからゲームを開始するメッセージが吹きこまれていた。驚くことに、死体の爪からはジグゾウの血液が検出された。しかし、ジグゾウは10年前に確実に死亡している。ジグゾウは生きているのか? それとも他の誰かの仕業なのか? 刑事と検視官をあざ笑うようにゲームの宣告通り、次々と死体が増えていく……。

 『ジグソウ:ソウ・レガシー』は、監督のマイケル&ピーター・スピリエッグが過剰な残酷さを売りにした「拷問ポルノではない」と断言し、「本来のスリラー」要素を強めた作品としていた。実際、物語はジグゾウは生きているのか、ゲームの黒幕は誰なのか、という主眼で進んでいく。予想を裏切る大ドンデン返しがあり、『ソウ』シリーズである以上、拷問ポルノではないといっていても、残酷極まりないゲーム内容に目を覆いたくなる瞬間も多い。まぎれもなく『ソウ』の血流を受けついだ作品だ。

 過去作の全てを観ていたら、「おっ」と思わせるエッセンスやリスペクトが各所に散りばめられているのも今作の特徴だ。ジグゾウの分身である腹話術人形・ビリーももちろん登場する。そういった意味では今作は過去の『ソウ』シリーズを総括した作品であり、新章の幕開けでもある。1~3がジグゾウ存命の第1章、4~7がジグゾウ死亡後が第2章、そして今作が前シリーズの10年後を舞台にした新章という位置づけといえる。

 今作で新たに問われるのは「命の価値」だ。このテーマは、ある意味ジグゾウがシリーズを通して示してきた哲学だ。それがなぜ改めて10年の時を経て現れたのか。ジグゾウは生きているのか。レガシーの意味は。シーンの全てに伏線と意味が隠されている。しかとその目で確かめてもらいたい。

 『ソウ』シリーズ全てに言えることだが、物語には余白がある。もちろん今作にもある。まだまだ未回収の伏線が残されているわけだ。観終わった後、あなたは確実に続編を求めるはずだ。しかし、続編については、今作の興行収入次第ということらしい。ぜひとも新シリーズ化し、新たなハロウィンの風物詩となってもらいたいものだ。
(文=Leoneko)

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1作目の完成度の高さはいま見てもやばい!

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