ヘタな人はビビり・批評家・完璧主義・腰が重い・頑固。専門学校講師に聞く物語づくりのウマい、ヘタとは?~ヘタの研究①

■ヘタな人はビビり・批評家・完璧主義・腰が重い・頑固

――物語づくりがウマい人に共通することはありますか?

谷口 最初に浮かんだ着想、直感、ファーストインスピレーションを大事にしている人が多いですね。最初の着想を、浮気せずに仕上げられる人はどんどんウマくなります。

――あとから思い浮かんだあれもこれも乗っていったらどんどんぼやけていった……、ではなく、これだと思ったイメージと心中する心意気ですね。

谷口 あと、性格にもウマい人には共通点があり、まず一点目は「傷つくことを恐れず、今自分ができないことを認められる人」です。作品はけなされることもあるし、賞を得られず落ち込むことも、自分の力量の無さを思い知ったり、ウマい人と比べて傷ついたりすることもあります。そこで、自分の負けを認められる学生は成長が始まっていきます。

 二点目は「強み、得意なことを伸ばせる人」ですね。弱みや苦手なところを改善しても、一般的なレベルにしかなりません。それよりも自分の強みを伸ばし、広げていき、そこで勝負する人はいずれ普通の人が書けないような作品を書くことができます。

――物語づくりに限らず、人を見ていると、「そこ気にする? もっと気にすべきポイントはほかにあると思うけど?」と思うケースがあり、「他人から見たその人の強み弱み」と「自分が思う自分の強み弱み」がずれていて、見当違いの努力をする人は少なくなさそうです。

谷口 そこで必要になるのが、ウマい人に共通する三点目の性格、「素直さ」ですね。ネットの無責任な批評は気にする必要はありませんが、自分のことを思ってくれる友人や先生などの助言を素直に受け入れることができる人は、やはり伸びます。たとえ、自分の考えと大きく違うアドバイスだとしても、なぜ先生がそのようなアドバイスをしたのかをよく考えるなら、自分の表現の幅を広げることにつながっていきます。「盲従」とは違いますが、素直さは必要な特質だと思います。

――逆に、物語づくりがヘタな人に共通することはありますか?

谷口 上記のウマい人の逆ですね。「傷つくことを恐れ、チャレンジしようとしない人」や「自分とちがう考え、意見に耳を貸さない」人は伸びにくいです。

 そして、他人の批評ばかりしている人はまず伸びません。人を馬鹿にすることによって自分が書けているような気になることは、自分の感性を腐らせます。

――先ほど、まずは50点でも完成させる、とお話がありましたが、多く物語を書いてる人ほどうまくなるものですか?

谷口 ウマくなるには、ある程度書くこと、そして書き続けることが必要です。もちろん、漠然とただ書くのではなく、考えて書くことが前提ですが。

――「物語を書く」において天性の天才というような、いきなり、超ウマい人はいるのでしょうか。

谷口
 初めからウマい人は確かにいますが、生まれて初めて書いた作品でいきなりデビューというのは超絶レアケースです。仮に、デビューできたとしても、続かないことが多いでしょう。 
地道なことの積み重ねが結局、物をいう世界ですね。

* *

 物語づくりに限らず、「ビビり・批評家・完璧主義・腰が重い・頑固」VS「勇気がある・まずやってみる・素直」なら、何かを成し遂げるのは後者だろう。何かがダメで、イケてないときに、「ビビり・批評家・完璧主義・腰が重い・頑固」戦隊が潜んでいないか確認すると、道が開けるかもしれない。

(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

■谷口剛司著『シーン書き込み式物語発想ノート』
https://www.amazon.co.jp/dp/4883851648/

ヘタな人はビビり・批評家・完璧主義・腰が重い・頑固。専門学校講師に聞く物語づくりのウマい、ヘタとは?~ヘタの研究①のページです。おたぽるは、マンガ&ラノベ出版業界事情の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

PICK UP ギャラリー
写真new
写真
写真
写真
写真
写真

ギャラリー一覧

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!