5万円の商品券が毎年もらえる！　5万円台から株主になれる魅惑の“オタ株”株主優待って？

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まんだらけ株価推移。2016年5月末の新優待制度発表で株価急上昇（グラフはYahoo!ファイナンスより）

「萌え株」。株式市場に上場している、オタク事業を行う会社の株のことだ。銀行預金と比べて株式を保有することのメリットはいろいろあるが、そのうちの一つが株主に定期的にプレゼントされる「株主優待」だ。株主優待の食料や日用品で生活している桐谷広人さんのような強者もいる。「萌え株」の株主優待を調べてみた。

■5万円ちょいでオーナーになれるまんだらけ

　まず特筆すべきは、まんだらけだ。第一に、低額でも株主になれやすい。2017年2月23日のまんだらけの株価終値は529円。まんだらけ株の場合、100株以上からの購入になるため、5万2,900円あれば株主になれる。比較としてスクウェア・エニックスホールディングスの同日の終値は3,400円。こちらも100株からになるため、34万円ないと株主になれない。

　まんだらけの株主優待として、まず9月末日、3月末日時点の株主に対し季刊誌や小冊子が配られる。こちらも気になるが、まんだらけ株主優待の真骨頂は商品券だ。9月末日時点の株主に、保有株数と、保有年数に応じまんだらけの商品券がプレゼントされる。

〇まんだらけ　9月末日時点株主に贈られる商品券の内訳〇

保有株数→もらえる商品券の額
100株以上（5万2,900円）→株式保有1年未満:2,000円分／1年以上:5,000円分
500株以上（26万4,500円）→株式保有1年未満:4,000円分／1年以上:1万円分
1,000株以上（52万9,000円）→株式保有1年未満:7,000円分／1年以上:2万円分
5,000株以上（264万5,000円）→株式保有1年未満:1万円分／1年以上:5万円分
※カッコ内数値は、株価が529円の場合、株主になるのに必要な金額

　上記を見て、興味ないねとクラウドみたいなことを言う人は、おそらく株式を購入したことのない人だろう。この株主優待は「大盤振る舞い」レベルだ。現に、まんだらけの株価推移のグラフを上図につけたが、この商品券をプレゼントする株主優待発表を行った直後の2016年5月末に株価が跳ね上がっているのがわかる。「だらけ、マジだぜ」と市場が判断したのだろう。

　そもそも、株主優待制度をしていない企業も多い（任天堂は株主優待をしていない）。また、やっていたとしても「クオカード500円」というところが多い。クオカード500円など、コンビニで瞬殺だ。

　まんだらけの場合、5万円2,900円（2017年2月23日の株価）で100株を保有すれば年に1回2,000円の商品券がもらえるのだ。これは利率に直すと約3.7％。普通預金の金利が0.01％以下と、あってないようなものであることを考えるとこれは大きい。

　まんだらけの株主配当のすごさを伝えるため、ランキングを紹介したい。四半期ごとに全上場企業の業績レポートを掲載する東洋経済新報社『会社四季報』では、上場企業の各種ランキングを掲載しており、2017年第1集新春号では「実質好利回りランキング」が紹介されている。“実質”とは、「配当」と「株主優待の商品を換金した金額」を含めた利回りになる。このランキングにおいて、まんだらけは全上場企業（3,000社以上ある）で32位と、上場企業においてもトップクラスの「持っていると色々返ってくる企業」なのだ。

■他社の優待状況

　まんだらけが一つ頭抜けしている状況だが、ほかに株主優待制度を行っている萌え株を2社紹介したい（ともに、2016年の制度になる）。

◆東映アニメーション

株主優待オリジナル「キャラクタークオカード」を贈呈
100株以上→1セット （2,000円相当）
500株以上→2セット （4,000円相当）
1,000株以上→3セット （6,000円相当）
5,000株以上→5セット （1万円相当）
1万株以上→10セット （2万円相当）

　株主優待限定の描きおろしデザインを含む、人気の新作アニメ2枚、懐かしの名作アニメ2枚の計4枚が1セットになっている。なお、2016年度のクオカードは、新作は『魔法つかいプリキュア！』、劇場版『ONE PIECE FILM GOLD』、名作から『魔法使いサリー』、『ながぐつ三銃士』が選ばれている。

◆ブロッコリー

株主限定オリジナルグッズを以下の中から贈呈

1,000株以上 1点（④）
5,000株以上 2点（③と④）
10,000株以上 【3年未満保有】 3点（②～④）【3年以上連続保有】4点（①～④）
①『うたの☆プリンスさまっ♪』5th Anniversary ロゴマーク 図書カード　1,000円
②『Z／X-Zillions of enemy X-』ロゴマーク 図書カード　500円
③『デ・ジ・キャラット』型押しブックカバー
④『うたの☆プリンスさまっ♪」ロゴマーク デルガード

■株主優待で気を付けたいこと～オタクより必要なキョロ充視点～

　株主優待のいいことばかり紹介してきたが、株式投資は銀行預金と違いリスクのある「投資」であり、資産を溶かしてさあ大変になる可能性もある。株式を購入する際に気を付けないといけない点を挙げていきたい。

◆株主優待がよかろうが、株価が下がれば大損になる

　当たり前だが、株主優待の恩恵が高くても、肝心の株価が下がれば意味がない。

◆さらに、株価は業績がよければ上がるという単純な世界ではない

　株価は企業の業績が好調なら必ず上がるというような単純なものではない。そんな単純なルールなら、株で資産を溶かす人など出てこないはずだ。株価はよく美人コンテストに例えられる。「自分がぐっとくる子」でなく「今はちょっとやぼったいけど、そのうちみんなにちやほやされそうなダイヤの原石」をいち早くキャッチするのが億万長者への道なのだろう。

　よって、我が道・我が萌えを追求する「オタク気質」よりも、周りをキョロキョロ伺い、誰がこれから覇権をとれるか見通しその恩恵にいち早く授かり、もっと恩恵を授けてくれそうな人がそちらに華麗に乗り換えることに生きがい、やりがいを感じる「キョロ充気質」の方が投資において必要とされる気質だ。地味で堅実で業績も悪くない企業だからといって株価が伸びるとは限らない。まるで人生のようだ。

◆月末ぴったりに買っていたら株主優待に間に合わない

　まんだらけの場合9月、3月末時点の株主が株主優待の対象になるが、これは9月、3月の最終営業日ぎりぎりに株式を買っていたら間に合わない。最終営業日の3日前（権利確定日）までに株式を購入しておく必要がある。

◆株主優待は廃止になることもある

　株主優待目当てで株を購入したものの、株主優待制度が廃止になり、株価は下がりという、ないない尽くしな最悪のシナリオも想定しておきたい。

　ちなみに文中で紹介した会社四季報実質好利回りランキングの堂々トップ企業はメガネスーパーになる。メガネスーパーは株価95円（2017年2月23時点）で購入は100株からになり、9,500円と1万円以下で株主になれる。優待内容は「商品の30％割引券」と、「1万円分のメガネ仕立券」で、これが年2回送られてくる。つまり、約1万円弱で株主になれば、一年間ぼんやりしているだけで2万円分の商品券が送られてくるのだ（保有株数が300株以上だとさらに商品券がもらえる）。半年程度で元が取れてしまうのだ。年に眼鏡を数回作るメガネフェチが身近にいるなら教えてあげてほしい。

※本記事中の数値や制度は全て2017年2月時点のものになります。

（文／石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/]）